2021 Fiscal Year Research-status Report
人と超音波診断装置の「合成志向性」生成過程を、NTの事例において明らかにする研究
Project/Area Number |
19K23016
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
渡部 麻衣子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60736908)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 技術死生学 / ジェンダー / 工学技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目にあたる今年度も、初年度に倫理審査を受理された自治医科大学附属病院産婦人科での妊婦を対象とした調査研究は新型コロナウイルスの感染拡大の懸念のため中断継続とした。 また予定していたイギリスでのインタビュー調査も断念した。そのため、引き続き文献調査に基づく研究に集中する一年となった。
1. パンフレットの社会学的図像分析:これまでに収集してきた、超音波画像診断機のパンフレットに用いられる図像を知識とジェンダーを切り口として分析する試みに着手している診断機の仕様は、工学的には高度化する一方、ユーザーインーターフェースは簡便化が図られてきた。新規の診断機を紹介するパンフレット上で、技術の「使いやすさ」「わかりやすさ「高度さ」「信頼度」を表す記号として、それぞれのジェンダーがどのように用いられてきたのかには、先端工学技術とジェンダーの現代的関係性が表れている考え、現在分析を進め、今年度初頭には論文にまとめる計画でいる。
2. 技術的志向性概念の発展:昨年より続けてきた志向性勉強会は、技術的志向性概念を起点として死生観を論じる領域として「技術死生学」の発展を目指すネットワークとして形を固めつつある。その成果として、2021年度科学技術社会論学会にて、「技術死生学の試み」と題するセッションを組織し、応募者も含めた4名が口頭発表を行った。本研究では、胎児とみる技術の事例を通して、技術と死生観がどのように関連するのかを分析する上で、「志向性概念」が有効であることをある程度示すことができたのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
やはり、インタビュー調査を行うことができなかったことが、進捗を著しく遅らせている。英国での調査は、どのような社会的文脈において、NTを発見するための視覚が形成されたのかを現地で聞き取ることによって、言葉だけでは伝わらない、臨床現場における機器や医師のあり方をも目の当たりにして言語化するために、必須である。理念的研究はある程度進み、当初予定していたよりも成果が上がったと言える部分もあるが、それらは当初の計画の代替として行ってきたものであり、現地調査ができずにきたことが引き続き痛手となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究実績概要の1にあたる現在執筆中の論文の仕上げと、英国での調査とその成果のまとめに注力したい。
今年度上半期:「パンフレットの社会学的図像分析」に関する論文をまとめる。 英国における現地インタビュー調査の実施
今年度下半期:現地調査の成果の論文化
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Causes of Carryover |
国内外の移動ができず、調査研究に行くことができなかったため、次年度に持ち越すこととなった。
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