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2020 Fiscal Year Research-status Report

19世紀フランスにおける大聖堂の表象研究―旅のテクストとイメージの考察を中心に

Research Project

Project/Area Number 19K23022
Research InstitutionChuo University

Principal Investigator

泉 美知子  中央大学, 文学部, 准教授 (00742983)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2022-03-31
Keywords大聖堂 / 旅行 / ヴィオレ=ル=デュック / ジョン・ラスキン / マルセル・プルースト / ゴシック建築 / 修復
Outline of Annual Research Achievements

2020年度の成果は、一つ目に、2019年度に参加した国際シンポジウム「ラスキンとフランス」(名古屋大学)で発表した内容「ラスキンとアミアン大聖堂:発見、修復、旅行ガイド (Ruskin et la cathedrale d'Amiens : decouverte, restauration et guide touristique)」をフランス語論文として執筆し、編集者による校正作業を経たことである。フランスのHonoré Champion社より、Recherches proustiennesのシリーズとして刊行される予定。さらに、発表内容をさらに増幅して日本語論文としても執筆した。この論文では、イギリスの美術批評家ジョン・ラスキンが北フランスを訪問した19世紀中盤における歴史的建物の保存事業と、ロマン主義の影響を受けた旅行者の眼差しを検討した。
二つ目に、国際シンポジウム「プルースト:文学と諸芸術 (Proust, la Littérature et les Arts)」(日仏会館主催)のための発表準備である。この国際シンポジウムは2020年5月に予定されていたが延期が決定され、2021年5月にオンライン(Zoom)での日仏同時開催となった。「プルーストの遺産への眼差し:『失われた時を求めて』における教会堂をめぐって」というタイトルのもと、本研究のテーマである「大聖堂と旅」の考察を進めた。マルセル・プルーストの20世紀初頭ノルマンディー地方の旅における遺産への眼差しについて、小説の完成稿と草稿テクスト、モデルとなったイメージの分析を通して考察を行った。
上記二つの研究成果に関連して、他研究費による成果であるが、『古きフランスをめぐるピトレスクでロマンティックな旅』(1820-1878 年)についての論考を展覧会図録用に執筆した。これはフランスのロマン主義を代表するテクストとイメージによる大型出版物であり、19世紀前半の大聖堂への眼差しを検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は2019年9月より開始され、1年7か月が経過した。その期間の1年1か月間がコロナ禍のなかでの研究活動である。当初登壇を予定していた2つの国際シンポジウムのうち、2019年11月のシンポジウムは開催され、その論文を提出しているが、刊行に時間がかかっている。2020年5月のシンポジウムは1年の延期となり2021年5月に開催の予定である。その後、論文を執筆することになり、実質的な成果を出すのに1年の遅れが生じている。
コロナ禍での研究活動(2020年3月~2021年3月)は、自宅で行われており、研究のための資料収集はインターネットによる書籍と論文購入によるものである。外国への書籍注文はたびたびトラブルに見舞われ、荷物の到着が遅れた。本研究のテーマは「旅における大聖堂の表象研究」であり、現地調査は必須であるが、当初予定していた2020年3月、2021年3月の2回にわたるフランスでの調査旅行は実現できていない。これが研究の遅れの最大原因となっており、研究そのものが中断された状態になっている。よって1年間の延長を申し出たが、感染病の世界的な状況によっては、さらなる延長を希望したい。とはいえ、国際シンポジウムの登壇のために、自宅にて研究を進めてきたので、遅れつつも少しずつ前進している。

Strategy for Future Research Activity

調査旅行が不可能な状況のなか、自宅での研究活動では、文献資料をできる限り調査し、その収集に努めてきた。今後、調査旅行が実現できない可能性を踏まえ、本研究にとって必要な文献資料をこれまで以上に積極的に収集し、また必要な機材を購入したうえで、今後の研究環境を整える予定である。
まず、2021年5月の国際シンポジウムの発表内容を論文(日仏)として執筆する作業を進める。さらに収集した資料の解読・分析に取り組み、その考察の成果を論文やその他文章という形で発表する予定である。
研究費の多くを占める調査旅行を研究期間内で実現できないことを想定しつつ、その予算を資料購入に使用することで、昨今の状況下でも研究成果を出せるような活動を模索していく。

Causes of Carryover

2020年3月、2021年3月に予定していたフランスでの資料調査とそれに伴う機材購入が延期されたため。今後の使用計画では、フランスでの調査のための渡航費に充てる予定であるが、渡航が実現できなかった場合は、資料購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 19世紀の大聖堂と旅:ジョン・ラスキンと北フランス2021

    • Author(s)
      泉美知子
    • Journal Title

      中央大学文学部紀要(言語・文学・文化)

      Volume: 128 Pages: 85-116

URL: 

Published: 2021-12-27  

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