2020 Fiscal Year Research-status Report
田辺哲学の中期から後期への発展の解明――武内義範との交流を踏まえて
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19K23025
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
浦井 聡 大谷大学, 文学部, 助教 (50844370)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 田辺元 / 武内義範 / 種の論理 / 懺悔道 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究実績はふたつに分けられる。ひとつは研究代表者自身のテキスト読解を通じての研究成果、もうひとつは大学院生に協力してもらっての資料翻刻である。 1-1.海外の研究状況に鑑み、研究成果を英語で発信した。現在田辺のテキストの翻訳はまだ少ないため、海外の研究者は田辺哲学の全体像を知ることができず、海外の田辺研究は黎明期と成長期との間の様相を呈している。したがって、研究代表者が現在取り組んでいる研究をそのまま公表しても現状ではその意義を伝えにくい。そのため、今後も長期的な視野で田辺哲学を紹介していくことが必要である。以上のことから、現在までに海外と共有している範囲の文脈を利用して田辺の思索の特徴を示すことにより、自身の研究成果をひとつの足場とすることを目指して英語論文の公表を行った。具体的には、田辺哲学における中期以前と後期以降における信と知の関係の差異に関する論文を公表した。 1-2.田辺と武内の関係を紐解くことを通して、武内義範における浄土概念(将来する浄土)の解明を行った。その中で特に2020年度は、武内が田辺から受け継いだ浄土の社会存在論的構造の存在論的性格について成果の発信を行った。 2.資料翻刻については、2020年度は田辺元と武内義範の往復書簡の半数および1943年1-8月の田辺の手帳の二次翻刻と、1943年9-12月の手帳の一次翻刻・二字翻刻および1943年12月-1944年5月の手帳の一次翻刻を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は年度内に行う予定であった翻刻の公表ができなかった。しかし、二次翻刻もほとんど終えているため、2021年度内の公表は十分に可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、2020年度と同様の方法によって進めていくことで本研究の目的(特に翻刻の公表)を達成できると考えている。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会が、新型コロナウィルスの影響で2022年2月に延期となったため。本大会がさらに延期ないしオンライン開催となった場合には、欧文の日本哲学研究文献の購入に充当することにしたい。
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