2021 Fiscal Year Annual Research Report
田辺哲学の中期から後期への発展の解明――武内義範との交流を踏まえて
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19K23025
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
浦井 聡 大谷大学, 文学部, 助教 (50844370)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 田辺元 / 武内義範 / 種の論理 / 懺悔道 / 社会存在論 / 将来する浄土 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績は主にふたつに分けられる。ひとつは研究代表者自身のテキスト読解を通じての研究成果、もうひとつは大学院生に協力してもらっての資料翻刻である。 1-1.国内外の研究状況に鑑み、研究成果を日本語および英語で発信し、田辺のテキストの英訳を公表した。現在田辺のテキストは翻訳がまだ多くないため、海外の研究者は田辺哲学の全体像を知ることができない。特に、本研究課題が扱う時期の田辺に関してはほとんど翻訳がないため、今後も長期的な視野で田辺哲学を紹介していくことが必要である。以上のような展望を持って、現在までに海外と共有している範囲の文脈を利用して田辺の思索の特徴を示すために、(1)媒介概念に着目した2本の英語発表、(2)田辺の親鸞解釈についての英語論文、(3)自身の既発表の田辺の社会存在論に関する論文の英語・フランス語への翻訳、(4)田辺の初期認識論の英訳を行った。また、日本語では(5)田辺の社会存在論の論理的基礎構造に関する日本語発表の他、(6)本研究課題期間の蓄積を踏まえ、博士学位論文を完成させた。 1-2.田辺と武内の関係および両者の背景となっているヘーゲル論理学との関係を紐解くことを通して、武内義範における浄土概念(将来する浄土)の詳細な検討と解明を行い、その成果を2本の論文として公表した。ひとつは将来する浄土の基礎構造をヘーゲル論理学の関係から解明したもの、もうひとつは同概念の社会存在論的構造を田辺哲学の社会存在論との関係から解明したものである。 2.資料翻刻については、2021年度は1943年12月-1944年5月の田辺の手帳の二次翻刻を行った。
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Remarks |
浦井聡「京都学派史の中の大谷大学」(『響流』9号,2022年,15-16) 浦井聡「私たちは文化の多様性を「理解」できるのか?:田辺元「種の論理」の視点から」(『響流』9号,2022年,2-3)
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