2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the present-day phonological systems in Slavic languages
Project/Area Number |
19K23034
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 直也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30846671)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 言語学 / 音韻論 / ロシア語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
スラヴ諸語における音韻の実態を解明する試みの一つとして、ロシア語におけるアクセントの「ゆれ」や通時的変化に焦点を当てた。 ロシア語では語のどの位置にもアクセントが現れうるが、分布としては特定のパターンが現れやすい。特に名詞については、一貫して語幹末に出現する語が大多数を占める。一方で、名詞や動詞の活用において、変化形によってアクセント位置が異なる語が一定数確認される。先行研究において指摘されている「ゆれ」ないし通時的変化の例としては、一部の男性名詞が複数各形において語幹から語尾にアクセントが移動する場合や、特定の動詞において現在形の一部で語尾から語幹にアクセントが移動する場合が挙げられる。 本研究ではまず、アクセントパターンが記述されている「文法辞典」からデータを収集した上で、語の音節数や使用頻度に基づいてパターンの分布を調査した。結果として、使用頻度の高い語について上述の現象が生じやすいことが明らかとなった。さらに名詞については、近年出版された発音辞典のデータと比較したところ、「専門的会話」において上記のゆれが現れやすいことがわかった。専門的会話においては特定の語の使用頻度が高まると考えられることから、語の使用頻度がアクセントパターンに影響を与えていることの裏付けが得られた。 なお、当該年度は新型感染症の流行による渡航制限のため、他のスラヴ諸語に関するデータ収集を行うことができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究課題で設定したスラヴ諸語のデータ収集について、新型感染症の流行に伴う渡航制限によって実施できていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当面の間渡航制限が継続されると見られることから、引き続きすでに入手済のデータの分析と、先行研究を踏まえた理論的考察を進める方針である。 調査対象国への渡航が充分可能となり次第、資料収集を再開したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
新型感染症流行の影響により、研究遂行に大幅な遅延が生じている。このため、研究期間の延長を申請した。次年度は当初の計画遂行を可能な限り目指す。
|