2021 Fiscal Year Research-status Report
労働者階級出身の作家ウェストールによる児童文学作品の日英における受容の比較研究
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19K23045
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
瀧内 陽 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (00846701)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス児童文学 / 労働者階級文学 / 翻訳 / 受容研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イギリスの労働者階級出身児童文学作家ロバート・ウェストール(1929-1993)の作品の日本という異なる文化圏での翻訳・受容を分析することから、日英それぞれの児童文学の特質を明らかにすることを目的としている。2021年度も引き続き、イギリス児童文学の日本における翻訳と受容についての研究を、ウェストールの小説とその翻訳、および受容史の分析を中心に進めた。 2021年度はウェストールの小説の翻訳について、International Research Society for Children's Literatureの隔年開催される(2021年度はチリ開催だが、新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインのみで行われた)国際会議で2021年10月に口頭発表を行った。この研究では、ウェストール作品に描かれる1940年代イングランド北東部の労働者階級の方言(Geordie)が、日本で1980年から2000年代の間に出版された一連の翻訳でどのように翻訳されているのかを分析した。その発表をもとに研究を発展させて英語論文を書き、2022年2月に児童文学の国際査読誌Children's Literature in Educationに投稿した。この研究は、英日翻訳研究の分野でも児童文学研究の分野でもこれまでほとんど行われていないイギリスの労働者階級方言の日本における翻訳の研究であり、論文が掲載されれば両分野への大きな貢献となるだろう。 また、ウェストールのThe Machine-Gunnersの日英における受容の研究も進めており、この研究については現在、英語論文の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画を修正・発展させた影響もあるが、本年度も、これまでの国内外の出張の取りやめ等、新型コロナウイルス感染症流行によって受けた影響が続いており、当初の研究計画よりはやや遅れている。 ただし、国内外の学会がオンライン開催されるようになり、対面開催時より情報交換の機会は減るものの参加の機会は増え、また、必要な資料は購入することによって揃ってきたので、予定より遅れたものの成果があがりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、まず、Children's Literature in Educationに投稿した英語論文が査読審査から戻ってきた後修正を加えて掲載を目指す。また、The Machine-Gunnersの日英における受容の研究について、さらに研究を進めて、2022年度中に英語論文を完成させ、国際査読誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響により、予定していた国内外の出張を一切行うことができなかったために、次年度使用額が生じている。この残額は2022年度に必要な資料文献の購入費用および英語論文の英文校正費用等に使用する。
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