2019 Fiscal Year Research-status Report
古英語から中英語にかけての語順の変容に関する実証的研究
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19K23055
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高橋 佑宜 名古屋外国語大学, 外国語学部, 講師 (90844283)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 英語史 / 古英語 / 語順変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古英語から中英語の間に起きた語順の通時的変化のプロセスとメカニズムを明らかにすることである。その為に、英語の通時的言語変化の分析モデルを構築する。従来の文献学的な手法を継承しつつ、言語変化に対する新たなアプローチを提供しつつある歴史語用論の知見を元に、定量的なエビデンスの提示を可能にする歴史コーパス言語学の手法を用いる。本研究を遂行することで、(1) 古英語から中英語にかけての語順変化のメカニズムを詳細に明らかにすることができる。そして、(2) 現代英語の成立に関わるより深い知見を得ることができる。また、その知見を元に (3) 英語教育学などの隣接分野に対して有益な知見を提供することが期待できる。
2019年度は研究課題の1年目にあたり、文献資料の整備を中心に進めた。それと並行して具体的な研究内容として、古英語から中英語の間に起きた語順の通時的変化のメカニズムの一端を解明する為に、次の4点について分析を進めた。(1) 雑多でかつ複雑な語順という言語現象をどのように定義し、通時的に比較可能な語順パターンとして整理するのが適切であるか。 (2) 主節と従属節の間において、語順パターンにどのような差異が観測されるのか。 (3) 語順パターンの構成素である主語、動詞や副詞句がどのような情報構造上の性質を持っているのか。(4) 特定の語順パターンが何らかの語用論的な機能や談話上の効果を備えているのか。2019年度はこれらの点について分析し、2篇の論文を執筆した。そのうち1篇については、2020年度中に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、文献資料の整備と並行して、2篇の論文を執筆した。研究活動スタート支援の1年目の交付開始は年度の下期であったことを考慮すると、研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き2019年度と同様に研究を推進する。2019年度に執筆した論文の出版を目標に進める。また、特に2020年度は古英語と初期中英語期の語順変化に関する連続性の問題についても掘り下げていく予定である。
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