2021 Fiscal Year Research-status Report
源氏物語の受容を中心とした食に対する意識の変遷に関する研究
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19K23061
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
荻田 みどり 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20847644)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 食 / 古注釈 / 梗概書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『源氏物語』を中心として、受容史における食描写の変遷を辿ることで、食に対する人々の意識がどのように移り変わってきたかを解明するものである。『源氏物語』は当時の文化的背景に基づいて精緻に描かれており、1000年にわたって絶えず様々な形で読み継がれてきた。その様々な受容の様相の中でも、当該年度は特に古注釈に注目して分析を試みた。古注釈は、受容史の中でも比較的古くまで遡ることができる。前時代の注釈書の影響を受けつつ、時代を経るにつれて、様々な受容層において注釈が施されてきた。そのため、幅広い時代における受容の様相が窺えるほか、注釈という、ある程度の識者の視点を明らかにできる。 『源氏物語』古注釈・梗概書(ダイジェスト本)における食事表現の抽出、データベース作成を行っている。現時点で古注釈9本、梗概書1本が完了しており、データベースを踏まえた分析を随時行っている。 古注釈においては、それぞれの注釈書独自の注に留意しつつも、前時代の注釈書を引用・紹介している項目を含む、ある程度共通して注釈を行う項目が見えてきた。その中で、『源氏物語』本文の中での扱い以上に注釈者たちが注目し、本文の理解を助ける項目も見受けられる。これは、注が付される食事表現が、儀礼や宴等ハレの場に関わって描かれることが多いこととも関わるだろう。一方で、独自注は、時代を経るに従って、意味が解しづらくなる様相とも関わる。こうした観点を中心に、分析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初めての担任業務であり突然の学生対応や、コロナ禍における対面授業と遠隔授業の切り替え、本来対象外であるにもかかわらず機構から任命された校務の増加等により、予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
休日や長期休暇を利用して、データベース作成の進行とともに、論文として成果をまとめる。 絶版等で、古書でも購入できない書籍が複数あるが、大学図書館等を利用して資料入手に努める。
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Causes of Carryover |
必要な書籍が古書でも見つからず、精査しきれなかったこと、コロナ禍により、学会等がオンラインになることが多く、旅費が必要なくなったことが、大きな要因である。 今年度は、日本文学関係の書籍を精査し、論文作成において必要に応じて入手したい。
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