2023 Fiscal Year Annual Research Report
源氏物語の受容を中心とした食に対する意識の変遷に関する研究
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19K23061
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
荻田 みどり 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20847644)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『源氏物語』を中心として、注釈書や梗概書等、受容史における食描写の変遷を辿ることで、食に対する人々の意識がどのように移り変わってきたかを解明するものである。『源氏物語』は当時の文化的背景に基づいて精緻に描かれており、1000年にわたって絶えず様々な形で読み継がれてきた。 2023年度は梗概書の「食」描写のデータベースの分析を進め、『源氏大鏡』を調査し得た。受容面から分析したことを踏まえつつ、『源氏物語』や、それに近い時代の作品にかえって「食」描写における課題が見つかり、今一度『源氏物語』やあまりテクスト分析の考察がなされていない『篁物語』に焦点を当てて、成果をまとめきれた年度であった(拙稿「『篁物語』における「食」――稲荷詣を端緒として―― 」『朱』67、2024年3月、pp.33-51/拙稿「看病する者の「食」――光源氏と薫を比較して――」『日本古典文学の言葉と思想』武蔵野書院、2024年、pp.57-76)。 本科研費をいただいた期間の中で調査を進めるうえで見つかった課題をもとに方向性の変化はあったものの、より深く、包括的な「食」描写を考察し得た。本研究と並行して教育や講演を行うことで、本研究には含めきれなかった近現代の受容に対する視点も新たにすることができた。今後その面については検討していきたい。 データベースや論文としてまとめてきた成果は、今後著書としてまとめるべく、過去に執筆した論稿の見直し等も含め、さらに整理を進める必要性を感じている。
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