2019 Fiscal Year Research-status Report
A study of phonological mechanism of truncation: An experimental and contrastive approach
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19K23069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
文 昶允 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60845030)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 短縮語 / OCP / 特殊モーラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,短縮語が作られる過程にどのような音韻的規則が適用されるかについて,実験的な観点から探究する。その上で,他言語(韓国語)との対照研究を通して,短縮現象における普遍原理の一端を明らかにすることを研究の目的とする。従来の研究により,短縮語の形成過程において,似ている音が連続する語形は避けられやすいということが指摘されている(文2016, 2018)。このことは,既に言語研究においてOCP制約として命名されている。しかし,具体的にどのような音韻的要因が,連続する音同士の類似性を引き起こすかという点については,十分に明らかにされていない。以上を踏まえ今年度は,主に日本語を中心とした研究を行った。実験では,形成された短縮語に連続する同音が子音(C)のみである条件と子音と母音(CV)が連続する音韻条件を設けた。実験協力者には,音韻条件が異なる2つの語形(C連続 vs CV連続)の中から,より自然に感じる語形を1つ選んでもらい,その結果を分析した。実験の結果,CV連続の語形がC連続の語形より選ばれにくく,CV連続における類似性がC連続より高いということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
約1年半の計画期間を半分に分け,前半は日本語を中心とした実験研究,後半は日本語に加え韓国語に関するデータ収集および実験研究を行う予定であった。前半に関しては,実験実施,データの分析,国際学会での公表を今年度中に実施することができた。加えて、現在は対照研究を行うための土台となる言語リソース(韓国語のデータ)の収集にも着手しており,実験デザインおよび調査項目の検討も進めている。そのため,本研究はおおむね順調に進展していると判断して問題ないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は大きく次の3つで分けられる。 ①類似性をより強く引き起こす音韻的要因の特定(日本語)②短縮語データベースの構築(韓国語)③語形成過程に影響する類似性の検証・記述(韓国語) まず、①について述べる。次年度には,調音様式(manner)や有声性(voice)などが音韻的類似性に与える影響について明らかにする。次に②について述べる。現在は文献資料を通したデータ収集に着手しているが,今後はアンケート形式を通したデータ収集にも取り組む。最後に,日本語を対象として行ってきた1年目の研究成果を踏まえ,韓国語を対象とした無意味語実験を行い,言語事実を記述する。
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Causes of Carryover |
今年度は,計画していたデータ収集のための出張が遅れている点,収集したデータを入力・整理するための短期雇用の費用支出もなかったことから,次年度使用額が生じている。研究2年目には,テータ収集およびデータ処理のための短期雇用をはじめ,研究成果発信のための出張を計画している。
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