2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of phonological mechanism of truncation: An experimental and contrastive approach
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19K23069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
文 昶允 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60845030)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 重子音 / OCP / 短縮語 / 語形成実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,主に日本語の短縮語形成に影響する音韻的要因について探究した。文(2020ab)で指摘しているように、複合語由来の短縮語データベースにおいて、前部要素の第2モーラに促音を含む実例は,26語である。また、短縮語形に促音が保持される例を取り出した結果、重子音が無声阻害音からなるものが圧倒的に多かった。しかしながら、実例のうち促音を含む実例が非常に少ないという点、複合語の構成素によっては特定のパターンとして短縮されがちであるという問題があった。これらの問題を受け、複合語を構成する後部要素の頭子音の音韻特徴によって、保持形と補完形の選択率に差があるかどうかを検証した。語形成実験の結果は、次の2つにまとめられる。1つ目は、外来語であっても、母語話者のレキシコンにない新語に対しては、和語に働く音韻制約が適用され得る可能性があるという点である。2つ目は、聞こえ度が高い重子音であるほど有標性が高く、かつ重子音の有標性が短縮語形成に影響する音韻的要因の1つであるという点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、個別言語のみならず、他言語(韓国語)との対照研究を通して短縮現象における普遍原理の一端を明らかにすることを目的としている。昨年度において、日本語を対象とした研究はおおむね順調に進展したが、韓国語における実証的検証はやや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度収集した韓国語の実例分析とともに、韓国語母語話者を対象とした語形成実験を行う予定である。新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み,実験は専らオンラインで行う予定であり、そのための実験環境の整備などが必要である。また、研究成果を発信するために、オンライン研究会や学会に参加する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画の延長により、次年度使用額は0より大きくなっている。今年度は主に国際学会における発表および投稿、実験に必要なソフト購入や人件費として予算を執行する予定である。
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