2020 Fiscal Year Annual Research Report
1970・80年代香港における台湾文学の受容:文学の翻案行為に注目して
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19K23078
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
八木 はるな 高崎経済大学, 地域政策学部, 特命助教 (40845806)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 白先勇 / 郭良蕙 / 台北人表象 / 香港 / 陳冠中 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月より産休育児休暇を取得しており、本年度は研究計画を実行することがかなわなかった。ただし本研究の課題の一つである「白先勇文学の香港における演劇化とその受容」に関わる研究成果として、当時白先勇原作の演劇脚本を創作した作家・陳冠中について文章を書き発表した(八木はるな「自伝・回想録を読む会」から解題:陳冠中『我這一代中國人』『中国文芸研究会会報』2020/7/26 465頁)。また、ライフイベントと新型コロナウイルスの関係で香港での調査等を保留にせざるを得なくなったため、白先勇文学の受容というテーマで研究を進めた。中国語による国際学会報告原稿「中国文芸研究会会報」(『跨・界――第三屆 戰後亞洲文學與文化傳播國際工作坊』2020/3/5-6於横浜国立大学、ただし新型コロナウイルスの影響で未開催))はその成果の一つである。本論文では、台湾文学界でいかに白先勇の代表作『台北人』が批評的に読まれ、後世の作家がいかに白が作り出した「台北人」イメージを継承するとともに挑戦したかを明らかにした。なお本論文中でも検討した台湾女性作家・郭良蕙(1928-2013)は本研究課題「香港における台湾文学の受容」にも深く関わる作家である。2020年度の末には、郭良蕙の短編小説集『台北的女人』(1980)がいかに白先勇『台北人』と深い関係を持つテクストであるか、またその意味を台湾都市文学史、台湾女性文学史、白先勇文学史にまたがる視座で考察した中国語の論考を執筆し、台湾大学台湾文学研究所の機関紙『台湾文学研究集刊』に投稿した。これらの研究は全て本研究課題につながる成果であると自負するものである。
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