2023 Fiscal Year Annual Research Report
「モツ」動作を表す中国語動詞に対するビデオを用いた意味研究
Project/Area Number |
19K23081
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
中司 梢 麗澤大学, 外国語学部, 助教 (50844594)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 中国語動詞 / 動作動詞 / ビデオ分析 / 拿na2 / 日中対照 / 取る / 持つ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「モツ」動作を表す中国語動作動詞の意味についてビデオを用いて分析するものである。中国語の動詞の一般的な特徴として、動作の形によってどの動詞を用いるか細かく分かれるということが挙げられる。そこで、母語話者へ調査を行い、そこから得られたビデオデータを分析することで各動詞の動作の形を明らかにしてきた。 2023年度は、前年度に引き続き一般的に「持つ」にもっとも対応すると考えられている中国語の基本動詞na2について調査するとともに、日本語の動詞である「持つ」「取る」についても調査した。これらの調査にあたっては、中国での調査が従前よりも制限があるため、全てオンラインで実施し、かつデータの精度を上げるため、インフォーマントの数を増やした。具体的には、前年度と同様に、複数の中国語母語話者に対してna2が表す4種類の動作のビデオ(①物体を手中に収めたのち自分の方向へ引き寄せる動作、②物体を手中に収めたのち持ち上げる動作、③物体を持っている状態、④物体を手中に収めて自分の方向へ引き寄せた後、主体がその場から移動する動作)を見せ、“ 普通話”(中国語の標準語)の基準に即して、よりその動詞らしい動作かどうか、その程度を評価するよう求めた。後者については複数の日本語母語話者にna2と同様の調査を行い、4種類の動作のビデオを見せて、より「持つ」らしいものはどれか、より「取る」らしいものはどれか評価するよう求めた。 また2023年度は最終年度にあたることから、これまでの得られた調査結果について比較、分析を実施した。第一の調査では、中国語動詞が表す動作にはバリエーションが見られ、かつ多くのインフォーマントに共通する動作、すなわち典型動作を確認した。さらに各動詞が表す中心的意味・周辺的意味およびそれらの関係を明らかにし、各動作の動詞の形を考察した。
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