2023 Fiscal Year Annual Research Report
感情と態度を表す日本語語彙文法の研究:言語使用域の多様性を通じて
Project/Area Number |
19K23097
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
越智 綾子 武蔵野美術大学, 造形学部, 講師 (50776119)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 語彙 / 言語使用域 / 日本語 / 選択体系機能言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、感情や態度を表す日本語の語彙や文法の特徴を選択機能文法理論の観点から包括的に記述し、プロファイルすることである。感情や態度の表現は、書き言葉と話し言葉では、書き言葉の言語使用域でメタフォリカルな形で現れることがより多く、話し手/書き手の年代別の観点から見ると、子供よりも大人の言語使用域においてメタフォリカルな形で現れる比率が多くなると分かった。また、これらの表現は言語のメタ機能の点では主に対人的メタ機能に現れるが、メタフォリカルな表現になると対人的というより経験的なメタ機能に現れるようになり、メタファーによって圧縮された表現をコングルエント(非メタフォリカル)な元の形に復元し解釈する必要が出てくる。したがって、最もコングルエントな表現が比較的多く使用される子供の話し言葉の言語使用域から観察を始め、個人の言語(話し言葉や読み書き能力)の発達の過程に沿って、メタフォリカルな表現が多用される大人の書き言葉の言語使用域へと観察を拡げていくのが最も理にかなっているとの理由から、昨年度は親子の日常会話という言語使用域の観察を出発点とすると本研究の方向付けの修正を行った。また、研究代表者が同時に取り組んでいたもう一つの大規模プロジェクトの中で、選択体系機能言語学に基づく既存の日本語の文法記述の精査を進められたことで、本研究で分析と記述を行うための道具が徐々に揃ってきていた。使用するコーパスを日常会話コーパスに限定して、親子の日常会話を記録したデータを、その言語使用域を規定する文脈的パラメータを詳細に分析し、その中で子供が感情や態度を表す際に用いる語彙と文法を記述し始めたところである。
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