2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the Ceramic Production System in the Classic Maya
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19K23099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今泉 和也 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (90850446)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 整理作業 / 人骨 / 土器 / 分布調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き、2020年度もグアテマラ、ティカル遺跡にて発掘調査を実施する予定であった。しかし本年度はコロナ禍の影響を受け、グアテマラが外務省により渡航禁止エリアに指定され、今もまだ指定解除に至っていない。そのため2020年度は当初の計画通りに現地での発掘調査の実施が不可能であった。 そのため本年度は現地の考古学者及び作業員に対し、整理作業と分布調査を依頼した。整理作業に関しては、2016年度の第1次調査、2017年度の第2調査、2020年2月に実施した第3次調査(研究スタート支援の助成を受けた2019年度の調査)にて出土した土器資料、人骨資料に対する整理作業であり、半完形土器の撮影と修復、人骨の撮影及び人骨全体における焼骨の比の算出と部位判定を依頼した。分布調査に関しては住居の建築材による分類とそれぞれの住居がいかに分布しているかを調べる踏査を依頼した。 現地のグアテマラでも、依頼先の人物を含む国民への自宅待機命令やティカル遺跡が所在するティカル国立公園が閉鎖になるなどのコロナ禍の影響を受け、依頼した時点においてこちらが期待していた成果が十分に挙がらなかった。しかし少なくとも昨年度の第3次調査にて検出した人骨に対する整理作業は概ね終了した。人骨資料は422点、811.4gで性別は不明、人骨の残存率は50%程度であることが分かった。被熱を受けた人骨は内125点で29.6%程度であった。また人骨は十分な火力による青灰色の焼骨となっておらず、表面が黒く焼け焦げた状態であった。部位は下顎骨を中心として胸の一部や指骨が焼けており、頭頂部や腕の骨は焼けていなかった。古典期マヤにおいて火葬は一般化されておらず、また一般層の住居からこのような焼けた人骨が出る事例はティカルにおいて初の事例である。今後類似の事例を増やして、住居建設時の火を伴う再葬儀礼行為について検討していきたい。
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