2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identity reconstruction using archaeological heritage through public archeology in migrant societies.
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19K23119
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
古手川 博一 京都外国語大学, 京都外国語大学ラテンアメリカ研究所, 客員研究員 (30852371)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | アイデンティティ / パブリック考古学 / 考古遺産 / 移民社会 / 考古学情報の普及 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度も新型コロナウイルス感染症のパンデミックが強く残っていたので、インターネットを利用したパブリック考古学活動を継続し、これまでに蓄積された考古学情報の普及活動を主要な活動内容とした。その一環として、ラボラトリーで保管している遺物を再分析したり、前年度から制作開始したエステロ・ラボン考古学プロジェクトによるバーチャル写真展を完成させて一般公開したりした。今回はまだ十分な成果が得られなかったが、考古遺物の3Dデジタルデータ化実験も開始し、今後、考古学情報普及において重要なアイテムになる見通しが立った。更に、現地の子供達が遊びながら考古学情報を学べるように、卓上ゲーム「Loteria(図像を使ったビンゴの様なもの)」を作成し、各家庭に届けた。2022年1月には現地に赴き、村人たちに簡単な講演を行い、彼らが持つ考古遺産の重要性と保護の必要性を説いた。講演の前には、各家庭で保管されている考古遺物の写真撮影を実施し、村に展示されている古代の石彫には保護柵を付け、その後ろには遺跡と石彫に関する簡単な説明板を設置してその重要性を示した。この活動によって、移民社会の村人たちに現在彼らが住んでいる場所に存在するエステロ・ラボン遺跡という考古遺産を重要なシンボルとして認識することが可能となり、このシンボルを紐帯として村人たちが共通のアイデンティティ再構築を達成できると期待された。今回は最終年度ということもあり、村人たちに対してアイデンティティに関するアンケート調査を再度実施した。その結果、考古遺産を村人共通のシンボルとして利用することは、移民社会である村人たちを結びつける共通のアイデンティティを再構築するために有効であることが垣間見えた。しかし、最初のアンケートと再アンケートとの結果を比較すると、この戦略が効果を発揮するためには新たなコンテンツの開発と更なる時間が必要であることも判明した。
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Remarks |
バーチャル写真展はサン・イシドロ村にあるエステロ・ラボン遺跡に関する説明展示であり、村人を含め多くの一般の方々がこの遺跡や古代文化に関する考古学情報を得ることができる。フェイスブックページはこれまで我々が行ってきた考古学プロジェクトのページだが、今回の科研費での研究や調査の進行状況なども報告している。
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