2019 Fiscal Year Research-status Report
全面的集団化期の中央アジアにおける人口統計の再検討
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19K23125
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
植田 暁 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究員 (30848859)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | カザフスタン / 地理情報システム / GIS / 社会経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年10月に開催された国際的な中央ユーラシア研究の学術集会である中央ユーラシア研究学会(Central Eurasian Studies Society:CESS)に参加し、環境に関する学際的なラウンドテーブルに登壇した。その場において中央ユーラシア環境研究の第一線の環境研究者と具体的な意見交換を行った。その成果は既に原稿として整理され、2020年度のうちに国際的な英文学術誌において公表される予定である。 2020年2月に刊行された単著『近代中央アジアにおける綿花栽培と遊牧民』の内容のうち、ロシア革命後の中央アジアにおける人口学的問題および民族に関する研究(主として第4章、第5章)は本研究計画の一環である。本書にまとめた内容は、特に分析手法の面で本研究計画全体の根幹をなすものであるため、特に関連の深い研究分野に属する中央アジア研究者および経済学研究者から本書の議論に関する学術的なコメントを得た。 実施計画に記したように、ソ連期の社会経済史に関する研究は、国際的に急速に発展している。特に情報技術を利用した解析的手法の採用や、環境学や地理学との協同による学際的な研究の進展が注目される。本研究では、必要に応じて国際的な学術会議などに参加し、成果公表を行うことで、国際的な学術交流を通じた研究の進展を図るとした。CESSの学際ラウンドテーブルへの参加とその成果の取りまとめ、および単著刊行を機とした学際的な研究交流は、研究計画の上記部分に相当する。 カザフスタンのGIS統計データベース構築に関して、デジタルベースマップの作製を進めた。オンラインでカザフスタンの公的機関から入手できる近年の統計データも活用することで、精度の高い歴史GIS基盤の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に詳細を記したように、国際学会参加と単著刊行を利用した学際的な研究交流に関しては大きな成果が得られた。国際学会ラウンドテーブルに関しては、2020年度に英文成果が発表できる見込みである。 分析の基盤となる統計およびGISデータベースに関しては、国内で入手可能な統計刊行物とオンラインで入手可能な公的情報を活用して、可能な限り精度の高い分析基盤構築を試みている。 一方で、単著刊行スケジュールとの関連で年度第4四半期に予定していたロシア・旧ソ連における公文書館現地調査は、2020年度年初からの国際的な新型コロナウイルスの拡散とその影響による国際間移動の制限のために延期せざるを得なかった。現状では2020年度以降の世界的なコロナウイルスの拡散と各国の具体的な対応については、予想が困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの拡散に関連しては、学術的な活動はオンライン利用を中心に徐々に再開する気配を見せている。研究成果の発表やオンラインでの資料入手に関しては一定程度可能になると考えられる。 一方で本研究計画の予算計画の中心であるロシア現地調査に関しては、現状では見通しがつかないと言わざるを得ない。死亡数は抑制されているもののロシアの感染者数はアメリカにつぐ規模まで急増しており、公文書館における現地調査がどの時点で可能となるのかは予測が困難である。 もしロシア調査が不可能となった場合を想定して、国内外からの可能な限りの資料取り寄せとオンラインでの資料収集、データ入力・整理などの一定程度の外注など、研究計画の大幅な見直しを第二案として準備している。
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Causes of Carryover |
主として、単著刊行作業との日程的な関連から、第4四半期に実施することを予定したロシア現地調査が、コロナウイルス問題の影響で実施不可能となったため。
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Research Products
(2 results)