2023 Fiscal Year Annual Research Report
全面的集団化期の中央アジアにおける人口統計の再検討
Project/Area Number |
19K23125
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
植田 暁 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究員 (30848859)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 中央アジア / 人口統計 / ソ連 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は史資料の収集と分析および研究成果の取りまとめを行った。具体的には、本研究課題に関する論考が査読学術誌『境界研究』に掲載された。本論考は、ソ連期の中央アジアにおける人口動態に焦点を当て、量的および質的分析を加えたものである。ソ連初期から後期、そして、中央アジア各国独立後の人口動態を、統計資料の空間的分析によって通時的に復元した。1920年代から2000年代にいたる各国の人口統計は、空間単位が大きく変化しており、単純に通時比較を行うことはできない。本論考は、歴史地理情報学(Historical GIS)の手法を活用することによって、その課題の解決に取り組んだものである。また、本年度の内陸アジア史学会年次大会において、学会報告を実施した。本報告は、ロシア帝国支配期の中央アジアの社会経済史に関する分析であり、多角的な分析アプローチのひとつとして人口学的分析を用いた。その他、事典項目執筆などを通じて、研究課題成果を学界内外に発信する取り組みを行った。 本研究課題の実施期間は、コロナ禍の混乱とポストコロナの社会経済的変革と重なった。コロナ禍の下では、長きに渡った渡航制限などによって外国史研究の調査分析は大きく制限された。一方で、オンラインによる学術交流の拡大は、研究課題遂行に当たって大いに役立った。オンラインによる国際的学術交流の拡大という潮流にも助けられ、本研究課題においては全研究期間に渡って、英語、日本語、ウズベク語等での成果発信を実施することができた。 最後に、ロシア連邦に所在する各種公文書館は、統計資料を含む膨大な中央アジア関連史料を所蔵している。周知の要因によって、それらへのアクセスが制限されたことは、研究上残念であった。その問題に関しては、国際的な学術交流、コロナ禍下で進展した史料公開などを活用して、可能な限り対処を行った。
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