2020 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける華人キリスト者の人類学的研究:「中華性」と対峙する日常
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19K23127
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
Mori Albertus.Thomas 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (70849835)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 華人キリスト者 / インドネシア / プロテスタント / ミッション / 中華性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年は新型コロナウイルスの影響により、国際渡航ができなかったため、当初予定したフィールドワークを実施できなかった代わりに、今後フィールドワークが再び可能になる時に備えて、いったん、インドネシアの華人キリスト者の行動原理を巡る仮説を立てる作業に切り替えた。 具体的には、東南アジアにおける華人貿易活動の歴史は数百年あるが、祖先の出自地域および言語集団を基本とする従来の共同体形成の仕方は、やがて近代国家制度に敵わなくなる。それで経済活動のフロンティアに立つ人々は、利益の最大化を追求するために、「近代」へのアンチテーゼである福音主義キリスト教を結束の手段に選んだという仮説である。この仮説をもとに、福音主義キリスト教に内在する近代批判の性質をエリック・フェーゲリンの政治哲学を通して、「インドネシア華人キリスト教会連合会」の実業家出身指導者の動機分析はミレット制度における非ムスリム商人の活動との比較を通してそれぞれ研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主な調査予定地であるインドネシアとマレーシアは感染対策の一環として、公務などを除いた外国籍の新規入国および滞在申請を受け付けないため、本研究のメインな調査を実施できない。このような状態の中で、本来予定した6人の現地協力者を介して、Skypeなどの即時通信手段で調査対象にインタビュー調査を行おうと試みたが、現地政府の様々な外出制限によりごく一部にしか接触できなかった。また協力者も調査対象も高齢者が多く、このような非対面コミュニケーションに慣れない方がほとんどのため、効果的な調査には及ばなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要調査地であるジャカルタへの渡航が可能になるまで、調査対象の行動原理を巡る仮説の構築を文献調査で模索しつつ、本来予定した調査方向に資する隣接方向の調査の実施を検討したい。具体的には、本来予定した調査対象であるジャカルタの華人キリスト者と多くの交流関係を持つサラワク出身の華人キリスト者について、2021年3月より日本国内在住の協力者を得たため、インターネットを介した人間関係の構築に抵抗のない若い世代へのオンライン調査を試みたい。
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Causes of Carryover |
本研究の経費の使途は主に現地調査の実施であるため、渡航制限が解除されたら、計画調書の通りに実施する予定である。
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