2019 Fiscal Year Research-status Report
イタリアにおける移民のための精神保健:「他者」との出会いの民族誌的研究
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19K23133
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
彌吉 惠子 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任助教 (30846027)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | イタリアの精神保健 / 移住・移動 / 移民 / 医療人類学 / 他者論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イタリアで移民の精神保健に携わる治療者たちの実践と理念的思想を検討する。治療者らに対する聞き取り・参与観察からなる現地調査と、治療者らの著作および、彼らが臨床で参考にする文献の研究をとおして、「他者」としての移民との出会いのありかたを、民族誌として描き出すことを目的としている。 現地調査は2018年度までに終えていることから、2019年度は、現地調査で得た臨床事例の分析のほか、入手済みの文献を用いて文献研究を進めつつ、未入手の書籍等をローマ市内の図書館や書店で閲覧・入手することを計画した。研究はほぼ計画通りに進み、2月末の現地調査では、必要とする書籍・文献を全て採集できた。また、現地調査期間中にローマ市内で開催された、イタリア内務省事業の一環である「地域医療機関サービスにおけるトランスカルチャー・アプローチ」と題された、精神保健従事者のための研修と、「世界の医療団」の主催による討論会「移民にたいする性的暴力と戦う」に招待され、イタリアの治療者と実務家とのネットワークを強化できたほか、最新の知見を得ることができた。 本年度の研究成果としては、学会での発表2回(第26回多文化間精神医学会学術総会、移民政策学会2019年度冬季大会)、研究会での発表2回(第85回・第92回大阪大学地域研究フォーラム)、および論文発表2本(「保健医療社会学論集」誌投稿論文、「アジア太平洋論叢」誌投稿論文)が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、文献研究の結果をもとに2本の論文を成果として発表できたほか、現地調査も行うことができた。当初、冬休み中に予定していた現地調査が、所属機関における業務の関係で2月末にずれ込み、調査期間も2週間から8日間への短縮を余儀なくされたが、研究の進捗に大きな影響はでなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、7月にはEuropean Association of Social Anthropologists、9月には日本保健医療社会学会にて、研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた文献等が、図書館でのダウンロードあるいは閲覧で全て収集できたため、残金が発生した。残金は次年度に繰り越し、追加の文献の購入や、学会発表にかかる旅費等として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)