2019 Fiscal Year Research-status Report
Damage and management of geoheritage due to earthquake disaster
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19K23134
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
目代 邦康 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (80396605)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 活断層 / 断層露頭 / 岩手・宮城内陸地震 / 地すべり地形 / ジオパーク |
Outline of Annual Research Achievements |
地震災害による地学的自然遺産には,地震活動そのものの証拠となる断層変位地形や,地震により活動した斜面変動の痕跡などがある. 断層変位地形やその露頭は,日本国内において代表的なものは,天然記念物などの制度によって保護されてきた.そこで,天然記念物に指定されている9事例(根尾谷断層,郷村断層,丹那断層,船佐・山内逆断層帯,押ヶ峠断層帯,千屋断層,水縄断層,野島断層,真川の跡津川断層)について,文献調査をもとに整理した.近年,密閉性の高い建屋で地層や地形を観察できるようにする施設(野島断層,根尾谷断層)がつくられており,建設当初には多くの観光客を呼ぶことができているが,時間とともに観光客は減り,それにともなって維持管理のコストが地域の負担となっている.また,屋外の自然露頭は,維持管理に手間はかからないが,管理・活用が不十分な状況が見受けられる. 岩手宮城内陸地震時には多数の地すべりが発生した.その中で最も大きな荒砥沢地すべりは,地元の栗原市と近隣の研究者の働きかけにより一般的な砂防・治山工事が行われずに,最低限の工事のみ行われ,教育,観光の対象として活用が図られようとしている.この斜面変動地形の保護は,ジオパークという枠組みを用いて行われており,多様な関係者の協力によって実現されている. 災害発生後に,地形や露頭の科学的価値を踏まえた上で,他の価値を専門家が示すことにより,従来,保護が行えなかった地形や露頭の保護が可能になると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度においては,文献調査ならびに2020年度の聞き取り調査の準備を行った.2020年3月より現地での聞き取り調査を行う予定であったが,3月から現在まで現地調査ができない状況であるため,遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,出張が可能となり次第,各地の地学的自然遺産の状況の調査ならびに関係者の聞き取りを行う.
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Causes of Carryover |
現地調査が2月から3月にかけて実施できなかったため,旅費が支出されていない.出張可能となり次第,現地調査にて旅費を使用する予定である.
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