2019 Fiscal Year Research-status Report
アルゼンチンにおける沖縄移民社会と「復帰運動」―在亜沖縄県人連合会を中心に―
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19K23143
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
月野 楓子 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (70844710)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 沖縄移民 / 日本人移民 / アルゼンチン / 社会組織 / 復帰運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次世界大戦後の南米アルゼンチンにおける沖縄移民社会にみられた「祖国復帰」をめぐる運動について、史資料及び聞き取りを通して明らかにするものである。初年度の研究計画としては、史資料の収集と現地調査を行う予定であった。 史資料収集については、国会図書館に所蔵されている『らぷらた報知』を中心に閲覧・収集を進めた。同紙は戦後のアルゼンチンにおける日系社会及び沖縄系社会について知ることのできる貴重な資料である。本研究課題の当該時期である1960年代から1970年代にかけての同紙は欠号も少なく比較的良好な状態でマイクロフィルムで閲覧ができるため、今後も調査を継続し、分析を進めていく。当初の計画と異なる点としては、本来であれば3月に集中して資料の収集を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響で同図書館が閉館され資料の利用ができなくなっている。 現地調査については、関東及び沖縄において、新たなインフォーマントに対して聞き取り調査を行うことができた。3月にはアルゼンチンでの調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染症により現地に赴くことができず、計画していた調査・インタビューは延期せざるを得なくなった。聞き取り調査が本研究において重要な位置を占めるのは、対象としている時代に関する記録が十分に保管されていることが明確では無く、当時のことを記憶している人々からの証言が貴重な史料となるためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2月までは概ね計画通りの進捗状況であった。関連資料及び図書の収集、とりわけ国会図書館における新聞の閲覧は着実に進められた。また、国内での聞き取り調査についても新たな対象者と面会することができた。 一方で、3月以降については新型コロナウィルス感染症の世界的流行の影響により予定していたアルゼンチンにおける現地調査を断念せざるを得なくなったことで、現状は想定よりやや遅れていると考えている。国内での史資料調査についても同様の理由により主たる資料の所蔵先である国立国会図書館が閉館となり、3月以降は新たな資料へのアクセスが中断している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については以下の3点を中心に研究を進める。 1.現地調査:新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延が終息した際には可能な限り早い段階で現地へ赴き、調査を行いたい。インタビュー対象者の多くが高齢であることから、現地での聞き取り調査は積極的に行う必要があると考えている。また、関東及び沖縄での聞き取り調査についても、同感染症の蔓延が落ち着いたら再開したい。 2.史資料調査:国立国会図書館の閲覧が再開した際には、調査対象時期の資料収集を早急に行う。新聞資料が膨大であること、充てられる時間の制約に鑑み、これまで以上に対象時期を絞っての調査が必要であると考えている。 3.史資料の分析:入手した資料を最大限活用し、分析を加えまとめていくことが重要であると考えている。追加の調査を行った上で研究成果を発表することを計画しているが、新型コロナウィルス感染症の流行状況によって万が一研究期間内に現地へ赴くことができなかった場合には、調査への協力者らに依頼し、紙面でのインタビュー実施についても検討をしている。 研究課題の最終年度であるため、収集した史資料の分析を深めるとともに成果をまとめることを目指したい。そのため、調査方法についても様々な可能性を考慮に入れながら研究を進めていく必要があると考えている。 なお、今年度の研究活動を通して、アルゼンチンにおける復帰運動の様相について整理が進めることができたため、今後は沖縄における復帰運動との関連性や、他国の沖縄移民社会における復帰運動との関係性についても研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行によって予定していた海外出張1回と国内出張2回を取りやめたことにより、使用額が減少した。また出張の取りやめに伴い、旅費だけでなく支払い予定であった謝金及び現地で購入・収集予定であった史資料にかかる金額も未使用になったため次年度使用額が生じている。 次年度は研究課題の最終年度になるため、延期している出張等に活用し研究を推進したい。
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Research Products
(1 results)