2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23145
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Research Institution | Museum of Natural and Environmental History, Shizuoka |
Principal Investigator |
山川 志典 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 研究員 (20847040)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 民具 / 文化遺産 / 文化財保護 / 有形民俗文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
「論点1:民具研究における民具の活用についての見解 」については、2019年度に引き続き文献資料を収集し、その調査分析に取り組んだ。具体的には、日本民具学会機関誌『民具研究』や神奈川大学日本常民文化研究所が発行している『民具マンスリー』などの雑誌や報告書に掲載された論稿や、民具研究者の著作を中心に民具の活用に関する見解の把握を進めた。 「論点2 有形民俗文化財における活用の見解と活用事例」については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、2020年度は一年を通じて所属機関の方針により静岡県外への出張ができなかった。そのため、実施を計画していた民具の活用事例を有する該当地での現地調査は実施が不可能であった。この点は、可能な限り文献資料を用いた調査に切り替えた。具体的には、有形民俗文化財としての民具の活用に関する文化庁の見解について、『月刊 文化財』をはじめとした文献や各種構想・計画から把握を進めた。また、『民具研究』『民具マンスリー』、各博物館の刊行物から博物館における活用事例の把握を進めた。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響でウェブサイトや動画を利用して民具の情報を発信する事例を新たな活用事例として把握を進めた。 これらの内容からは、民具の活用においては収集・調査時や収集後の展示において、民具の理解を深めることが重要であると考えられた。よって、民具そのものだけではなく、民具の作製や使用に関わる人や場所に着目した文化遺産保護のあり方について、「語り継がれてきた場所―「話がある」ということに着目して―」(2021年3月6日 日本遺跡学会オンライン研究会「遺跡のなかの民俗学」)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大および対策による影響が大きい。以下、3点にまとめる。 【① 現地調査の中止ならびに研究計画変更】所属機関の方針により静岡県外への出張ができなかった。そのため、「論点2 有形民俗文化財における活用の見解と活用事例」で計画していた民具の活用事例を有する該当地での現地調査は実施が不可能となった。よって、文献資料を用いた調査を中心とした研究計画の変更を行った。 【② 図書館利用の制限】文献資料の収集のために利用を予定した図書館の利用が制限されていたため、当初予定していた文献資料収集に想定以上の時間がかかった。 【③学研究会開催中止・延期】研究発表や参加を検討していた日本民具学会全国大会(2020年11月)をはじめとする学研究会について、開催の中止や延期が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査から文献収集への切り替えた「論点2 有形民俗文化財における活用の見解と活用事例」について、未入手の文献があるため、収集にあたる。 すでに収集した資料の調査分析については、当初の計画にそって概ね作業が完了している。今後、学会での発表や雑誌への投稿へ向けて準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大および対策の影響を受け、①現地(博物館等)調査の中止、②図書館利用の制限、③学研究会開催中止・延期が生じ、主に出張ができなくなったことから、旅費を使用した調査を行えなくなった。よって、1年度間の研究期間の申請を行なった。 2021年度は、文献資料の収集・調査分析を主とし、その費用として使用する。また、基本的に現地調査は行わない計画ではあるが、新型コロナウイルス感染症拡大の傾向を確認し、可能であれば補完する調査として博物館や収蔵施設見学等の調査も検討していきたい。
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