2022 Fiscal Year Annual Research Report
法という統治形式に関するメタ理論的・記述的・規範的研究
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19K23160
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平井 光貴 早稲田大学, 法学学術院, 講師(任期付) (20850233)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 法哲学 / 法概念論 / メタ法理論 / 概念工学 / 法の支配 / 裁定理論 / 規範的法実証主義 / ロナルド・ドゥウォーキン |
Outline of Annual Research Achievements |
■最終年度に実施した研究の成果 2022年度は、研究実施計画において掲げた三つの目標、すなわち、法という統治形式に関する記述的問いへの一定の応答、法という統治形式の機能とあるべき態様に関する規範的問いへの一定の応答、そしてこの二つを架橋するメタ理論的問題への一定の応答のうち、博士論文としては執筆・受理済みであるが未公表部分である「法という統治形式」に関連する議論を、研究会報告及び書評の形で公表した。(具体的には、フランク・ラヴェットによる法の支配論に関する、従来的な法概念論や本研究の過年度の成果を踏まえた批判的検討が主たる内容となる)。 ■研究期間全体を通じて実施した研究の成果 研究機関全体を通じて実施した研究成果は、上述の目標に照らし、以下のようになる。まず、順序が前後するが、「二つを架橋するメタ理論的問題への一定の応答」に関して、問いを「法とは何か」とは何か、と再定式化したうえで、「法とは何か」とは法概念に関する概念工学的な問いであるとの応答を行った。次に、「法という統治形式に関する記述的問いへの一定の応答」に関しては、記述的問いへの応答それ自体が一定程度上述の概念工学的定式化を前提とされざるを得ず、概念工学的定式化は従来的な法概念が下敷きとなりつつも道徳的/非道徳的規範的判断に依存して変化しうるということ、そして工学的意図に基づいた人為的な変化は必ずしも成功する保証はないこと、などが確認された。最後に、「法という統治形式の機能とあるべき態様に関する規範的問いへの一定の応答」に関しては、上述の成果を念頭に置きつつ、民主的立法府の優越が基本的には承認されつつ、その形式の違いにより、一定の状況下で認識的優位性を持つ非民主的司法府が民主的立法府の判断を覆し得るのが規範的に望ましいとの応答を行った。以上内容の概略は、論文、学会報告、研究会報告の形で公表された。
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