2022 Fiscal Year Annual Research Report
Legislative Control over War Powers
Project/Area Number |
19K23162
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
望月 穂貴 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (90844126)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争権限 / 連邦制 / 財政権 / 権力分立 / 憲法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に行っていた議会の財政権に着目した戦争権限の統制についての検討のほか、連邦制と戦争権限の関わりについての検討、また、これまでの研究の総括を行うように努めた。 アメリカの大統領は、憲法上、合衆国軍と民兵の最高司令官である。しかし、数隻のフリゲートと数千の民兵しか手元にない状態と、40万陸軍に空母10隻、戦闘機数千、弾道ミサイルを有する状態とでは、その重みは異なる。第二次大戦を経て大統領の手元にある常備軍の規模は飛躍的にが拡大、加えて、第二次大戦後にはNSCが設立され、議会監視を受けにくい役所が政策決定を担うようになった。また、NSCの支持に応じて活動を行う中央情報局(CIA)が設立された。 そうした状況の変化は、連邦議会の忍従、と呼ばれる状況を引き起こした。意思決定を行うのは、立法府の監視の目が届きにくいNSCである。連邦議会が安全保障に関する議論に関与するプロセスは不透明である。重鎮議員の個人的折衝に依存する傾向性が強まる。第二次大戦後、戦争権限に関して、連邦議会は、追認機関になりがちであると言われる。 こうした議会関与プロセスの陳腐化状況に対抗する動きも生まれてきている。最も有名な例は1973年の戦争権限法である。また、国内スパイ事件を受けてインテリジェンス機関の監視に乗り出した。財政権を活かして、特定の軍事行動に様々な注文を付け始めた。 こうした連邦議会の活動に対しても、様々な批判がなされている。ただ、1970年代以降、議会が執行権の政策形成にお任せするのではなく、自ら外交・安保政策を立法化することに取り組む機運が創出されていったのは確かである。
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