2019 Fiscal Year Research-status Report
テロ事件の発生は反移民態度を高めるのか―メタ分析による検討―
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19K23182
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田部井 滉平 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (00843947)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 反移民 / テロリズム / 排外主義 / メタ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、テロ事件の発生が国民の反移民態度を高めるのか(または、高めないのか)に関して結果に相違を生む先行研究を一般的・体系的にとらえるための視座を生み出すことである。これまでの国内外の、テロ事件の発生は反移民態度を高めるのか否かを検証しようとする研究は相反する結果を導いてきた。すなわち、反移民態度を高めるという結果づける研究がある一方で、高めないと結果づける研究も同じ程度存在する。このような状況が生まれている原因は、研究の性質上、それぞれの研究で個別のテロ事件を扱わざるを得ないという点にある。そのため、あるテロ事件では影響が確認されるが、あるテロ事件では影響が確認されないというように、議論が平行線をたどってしまう状況がある。こうした状況に対し本研究では、先行研究の分析結果自体を統計的に分析するメタ分析手法を用いて、先行研究を同一の枠組みのもとで理解するための新しい知見を提供することを目指す。 本年度はメタ分析を実行するにあたっての準備として、先行研究の抽出とコーディングルールの作成までを完了させた。まず、「移民に対する態度」という概念の操作的定義を設定し、その操作的定義にもとづいて文献を収集した。その後、メタ分析の対象とする論文の採用基準を検討し、該当する論文を分析対象として決定した。対象となる論文から情報を抽出し、コーディングをするにあたって、コーディングルールの作成を行った。現在は、作成したコーディングルールにしたがって、対象となる分析のコーディングを進めている段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を遂行するために必要なリサーチ・アシスタントのリクルーティングに難航しているため。本研究では恣意的な分析となる事態を避けるために、分析対象とする論文の検討やコーディング作業は複数人で行う必要がある。そのため、当初から協力者の雇用を考えていたが、当初の想定よりもリサーチ・アシスタントのリクルーティングに時間がかかってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析対象となる論文のコーディング作業を引き続き進め、コーディングを完了させる。その際、抽出する情報を当初の想定よりも増やし、多様な分析が可能となるようなデータ作成を目指す。その後、メタ分析を実行し、一般的な効果量を求める。また、統合した結果を従属変数、研究ごとの差異要素を独立変数とすることで、研究結果の相違を生んでいる系統的要因の特定を試みる。その後、成果をまとめ、研究成果の発信を目指す。
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Causes of Carryover |
研究を遂行するために必要なリサーチ・アシスタントのリクルーティングに難航したため、2019年度から支出する予定であったリサーチ・アシスタントの雇用費を2020年度に持ち越すことになった。また、参加予定であった国際学会が新型コロナウィルス感染症拡大の影響によって2021年に延期となったため、参加費用を生じなくなった。この浮いた参加費用については、リサーチ・アシスタントと非対面でコーディング作業を進めるための環境整備にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)