2019 Fiscal Year Research-status Report
津波リスクを考慮した合理的な土地利用の形成と持続可能な防災都市に関する研究
Project/Area Number |
19K23192
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
芝 啓太 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 助教(特定雇用) (00848799)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 自然災害 / ヘドニック / ハザードマップ / 応用ミクロ計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災をきっかけとした人々の土地選考への変化を定量的に捉えようとする研究である。その研究を進めるにあたっての本年度の主な取り組みは、データの収集とその加工、分析、論文としてまとめ上げたことである。データの収集は主に国土交通省の国土数値情報ダウンロードサービス(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/)を活用した。また、適宜必要なデータを収集したのちに、地理情報ソフトウェアArcGISを使用してひとつのデータセットにまとめ上げた。次に、分析方法を検討するためにいくつかの計量経済学のテキストや論文を参考にして、複数の分析方法を考案した。それらに従って、統計ソフトウェアStataを用いて分析した。その結果、東日本大震災後に危険地域から安全地域へと土地への選好がシフトしていることが明らかとなった。さらに、人々は標高を最も意識して土地への選好を決定するようになったことが示された。この結果から、震災後に人々がどの土地を利用したいと考えるようになったかを読み取ることができる。そのため、例えば防災に強い都市を実現するための重要な指標となりうる。先行研究において、人々が被災リスクを避けようとして土地への選好をどれだけ変化させるかについて、定量的に明らかにされていない。したがって、この研究成果は災害の頻発する日本において災害との付き合い方を再検討するという意味で、示唆に富んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国土交通省HPから地価データをはじめとするその他必要なデータをダウンロードし、ひとつのデータセットを作成した。その後、統計ソフト「Stata」に落とし込める形にフォーマット変換をして、仮説検証を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
専門業者に英文校正を依頼したのちに、論文としての体裁を整え、査読付きの学術雑誌に投稿する。レフェリー審査を経て学術雑誌への掲載を目指す。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由としては、コロナ禍により大阪への出張が中止となったためである。次年度使用額は当初の予定通り、出張旅費として使用する計画である。また、翌年度分として請求した助成金は、分析に必要な地理情報ソフトウェアのライセンス更新費用や、分析結果を論文としてまとめ海外の学会誌へ投稿するための英文校正費用、学会報告や研究打ち合わせなどに必要な旅費として計上した。
|
Research Products
(3 results)