2020 Fiscal Year Annual Research Report
津波リスクを考慮した合理的な土地利用の形成と持続可能な防災都市に関する研究
Project/Area Number |
19K23192
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
芝 啓太 信州大学, 先鋭領域融合研究群社会基盤研究所, 助教(特定雇用) (00848799)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 自然災害 / ヘドニック / 応用ミクロ計量経済学 / 土地選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に収集した地価公示データと、各標準値の標高データおよび、海岸線からの距離データを用いて自然災害を契機とした地価変動を分析した。具体的には、西日本広域の地価データを利用し、津波による被災リスクの可能性に着目して、東日本大震災後にどのような指標を参考として人々が土地を選んでいるかについて明らかにした。比較的安全な地域と危険な地域にサンプルを分け、2011年以降の地価変動の平均的な差を推定した。分析の結果、南海トラフ大地震の被害が予想される太平洋沿岸(宮崎県、高知県、徳島県、和歌山県、三重県、静岡県)において、東日本大震災以降に、標高の低い土地および海岸線からの距離が近い土地で地価が下落した。相対的に、標高の高い土地および海岸線からの距離が遠い土地の地価が上昇した。特に、標高3.6m未満かつ海岸線からの距離が1.46km未満の土地において、地価が統計的有意に最も下落した。この結果は、人々の土地選好が震災後に変化しており、かつ標高や海からの距離に依存して変化するようになったことを示唆している。また、該当地域において2011年以前にこのような地価変動はなく、さらに、他の都道府県でもこのような地価変動はなかった。したがって、本研究で明らかになった地価変動は、東日本大震災を契機とした南海トラフ大地震による津波を避けようとする効果である。研究代表者は本研究を論文にし、国際英文査読付き学術誌に投稿し、採択された。
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Research Products
(1 results)