2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Economic Models of Welfare Stigma
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19K23194
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗田 健一 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (10845978)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | スティグマ / 生活保護 / 不正受給 / 漏給 / パネルデータ / 納税者 / 統計的差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
福祉制度下において漏給、不正受給、そしてスティグマが相互依存関係にある状況を理論と実証の双方から分析した研究を、計画通り査読付国際学術雑誌で出版した(Kurita et al., 2020)。Kurita et al. (2020)は、不正受給者と正規受給者の識別が困難である下で、不正受給者と認知されることから生じるスティグマがモデルの中で内生的に形成され、不正受給と漏給はスティグマから影響を受ける状況を理論的に分析した。比較静学分析より福祉給付水準の上昇は、漏給を深刻化させる可能性があること、また保護率も低下する可能性があることを明らかにした。Kurita et al. (2020)の実証分析では、OECDのパネルデータを用いて、共変量をコントロールした下でも給付水準と保護率が逆U字関係にあることを明らかにした。 次に発展的研究として、福祉のスティグマ・不正受給・漏給の相互依存関係を動学的に分析したItaya and Kurita (2020)の分析を進めた。Itaya and Kurita (2020)は、統計的差別のスティグマの下では複数の安定的な定常点が同時に存在し、納税者の怒りによるスティグマの下では安定的な定常点は一意に存在することを明らかにした。Itaya and Kurita (2020)は、日本経済学会春季大会において報告し、またワーキングペーパーを公開した。本研究成果は査読付国際学術雑誌に投稿予定である。
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Research Products
(9 results)