2019 Fiscal Year Research-status Report
世界環境産業連関表を用いた構造的類似性の抽出に基づく二酸化炭素排出構造の特定
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19K23197
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
白新田 佳代子 福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (60845197)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 産業構造の類似性 / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界各国における産業構造や消費構造などの複合的な経済構造の変化を考慮した枠組みを検討するため、世界各国の構造変化に関する類似性の評価を行い、構造的類似性が考慮されたグループの推定を行い、推定されたグループを基にグループ内・間の排出量を定量的に分析し考察を行うことで、排出移転などの世界の排出責任論について包括的に議論し国際的な二酸化炭素削減枠組みの提案を行うことを目的とする。 本年度は世界産業連関表(WIOD)、IEAよりエネルギー収支表とエネルギー価格のデータについて研究分析が行えるようにデータ整備を行い、整備したデータを用いて、検討予定の3つの経済構造(生産構造・消費構造・排出構造)のうち生産構造の類似性の推計を行った。さらに得られた生産構造の類似性行列にクラスタリング分析を適用したことでWIODを構成する43か国が2つのグループに分割できることが明らかとなった。 グループ内の類似性の特徴を明らかとするため、影響力係数や感応度係数などを用いて分析を進めた。各グループの消費ベース二酸化炭素排出量の違いを明らかとするため、各産業の最終消費額と排出強度に着目しスカイライン分析を行った。クラスタリング分析では、生産構造の特徴が類似性に集約されてしまい、なぜそのようにグループが分割されたかを説明することが難しかった。しかし、これらの追加的な分析によって、2つのグループ内に共通する類似点を抽出することが出来、二つのグループに特徴的な差があることが明らかとなった。 本年度は参加を予定していた学会が中止になったため研究成果を学会で報告できなかったが、来年度以降に学会で広く成果を報告し、論文として取りまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度得られた研究成果について、学会報告や論文発表が行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度の研究成果を論文としてまとめ、学会発表を通じて広く成果を報告することでフィードバックを得て今後の研究に活用する。現在検討している経済構造のうち生産構造の分析のみが終了しているので、消費構造・排出構造の分析を進めていく。来年度は最終年度となるので、研究全体の成果を論文としてとりまとめ、国際雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
本年度予定されていた学会が中止になったことで、発生しなかった旅費が存在するため。また、英語論文の校正費を計上していたが本年度に間に合わなかったため未使用の部分が存在する。 次年度についても、学会が実施されるのか不透明であるが、学会に積極的に参加し広く研究成果を報告するための旅費と本年度の研究成果をとりまとめた英語論文の校正費に使用する。
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