2022 Fiscal Year Annual Research Report
世界環境産業連関表を用いた構造的類似性の抽出に基づく二酸化炭素排出構造の特定
Project/Area Number |
19K23197
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
白新田 佳代子 福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (60845197)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 産業連関分析 / 産業構造の類似性 / 排出削減 / クラスター分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までの研究課題であったクラスター分析の手法について再検討を行い、階層型クラスタリングによってクラスターを特定し、グループ推定に取り組んだ。これまでの問題として、クラスター内の類似度やクラスター間の非類似度を考慮したクラスター分割の良さの程度を示すモジュラリティ・インデックスの値があまり良くなかった。これは、産業連関表から得られる構造的な類似性を非階層型クラスタリングに適用すると、分析に必要となる隣接行列の要素間の差が小さくなってしまい、うまく分割が出来なかったと考えらえる。一方、ウォード法による階層型クラスタリングは、それぞれのデータの平方和を求め平方和が小さなものからグループを作っていく手法である。階層型クラスタリングは類似性の高い者同士がクラスターを順に形成していくため、上述した非階層型クラスタリングのような問題が発生しない。 以上より、ウォード法による階層型クラスタリングを採用した。クラスタリング分析に必要となるデータは、世界産業連関表(WIOD)より2014年の対象43カ国の輸入競争型投入係数行列を作成し用いた。その結果、対象国43か国は経済構造の類似性に基づいて5つのグループに分割された。非階層型クラスタリングの時同様に、各グループについて環境影響を考慮したキーセクター分析を実施したところ、二酸化炭素排出の削減において重要となる産業について、各グループにはそれぞれ特徴があることが明らかとなった。キーセクター分析を行うことで、各グループが排出削減に向けてターゲットとすべき産業を特定できるだけでなく、その産業に対して執るべき対策(環境規制/サプライチェーンマネジメント)を提案することが可能であり、今後排出削減の枠組みを考える上で、生産構造の相違性・類似性に基づいた議論が必要であると言える。
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Research Products
(1 results)