2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における教育・引退選択が経済成長に与える影響に関する研究
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19K23204
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
森本 貴陽 中京大学, 経済学部, 講師 (40851663)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 経済成長 / 研究開発 / 高齢化 / 引退選択 / 教育選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,個人の教育・引退選択を組み込んだ内生成長モデルを用いて,高齢化が経済に与える影響について分析を行っている.前年度までに理論モデルの構築および解析的な分析,また数値計算の試行が完了していたため,本年度は主に数値計算による分析の精緻化を行った. 数値計算による分析では,解析的に得られている結果が再現できるかどうかの確認と解析的な結果を得ることが困難な変数についての分析を行っている.本年度は,前年度の数値計算の試行で使用したプログラムを再確認し,いくつかのミスの修正を行った.また,前年度の試行では技能労働者と単純労働者の引退年齢の差が定量的に非現実的な大きさになっていたため,この点に関する修正を試みた.プログラムのミスの修正により,定性的な結果に変化はなかった.また,技能労働者と単純労働者の引退年齢の差の非現実的な乖離については,いくつかの改善案を試みたものの大幅な改善には至らなかった. 以上から,前年度と比較して目新しい結果を得られているわけではないが,ミスの修正により,より正確な分析結果を得られたと言える.主要な結果としては,期待寿命の延伸による高齢化は,退職年齢を引き上げるが,この引き上げ幅は単純労働者の方が大きい.また,高齢化により,教育を受け技能労働者になる割合が増加する.技能労働と単純労働の双方の供給が増加し,生産量が増加するが,技能労働の供給の増加の方が相対的に大きい.そのため,期待寿命の延伸により技能労働と単純労働の賃金の差が縮小することが分かった.
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