2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23209
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松田 絢子 関西大学, 経済学部, 准教授 (30752109)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 開発経済学 / 農業経済学 / 労働経済学 / 経済史 / 家計調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は昭和初期の農家を対象に行われた家計調査のデータベース化を進めた。新型コロナウィルス蔓延により、データ入力アルバイトの雇用が難航し、進捗に遅れが生じているものの、アルバイト雇用や業務委託を利用し順調に進めている。具体的には農業経済調査簿のうち、地方概況、調査項目記入欄、世帯員情報に関する記述の整理を進めた。日誌には各世帯員それぞれの日々の作業内容(農業・養蚕・公務・家事・余暇の内容等)及び種目印とその作業時間が手書きで記されている。手書き部分を判読するのに難航したものの、熟練したアルバイトを雇用し可能な限り効率的に進め、世帯員情報、生産行動、売買行動、交流活動、世帯内役割分業、雇人の雇用とその仕事内容などがデジタル化された。これを用いてさらなる分析を進める予定である。 並行して、申請者は同調査簿のうち、北丹後(奥丹後)地震に関する記載のデータベース化を重点的に行っている。北丹後地震は昭和2年(1927年)3月7日夕刻に丹後半島にある郷村断層・山田断層を震源として発生(M7.3 直下型)し、兵庫県豊岡市、京都府宮津市・京丹後市・与謝野町で震度6を観測した。建物倒壊等による被害に加え、地震発生時刻にかまどやたき火が多く使われていたことから火災による被害が多く発生し、これらの地域では、死者・負傷者合わせて約1万人、住宅被害17,000戸余と推定されている。さらに大阪市内でも停電が起き、電話一部不通など、大規模な被災状況が報道された。調査簿にはガレキの撤去作業、葬儀、義捐金、救援作業が多く記載されている。屋根に積雪があったことで建物の倒壊被害が一層甚大になったことや、地震発生翌日には大雨が起き、屋外での避難が困難になったことも読み取れる。申請者はこうした貴重な資料のデータベースを進めており、今後これらを用いてさらなる分析を進める予定である。
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