2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23212
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Research Institution | Kobe International University |
Principal Investigator |
坂本 淳 神戸国際大学, 経済学部, 講師 (90845025)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | ナイト的不確実性 / 資産価格理論 / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の本筋である、ナイト的不確実性の国際間波及については、数値解を得られるような理論モデルの設計を想定していた。しかし、モデルの複雑化から、動学式の一意な収束先を得ることができない状況である。現状のまま数値計算に入っても、安定的な結果を望むことはできない。モデルの定式化について、現在見直しを行っている段階である。 一方、本研究を通じて得られた知見から、以下のような分析を副次的に行った。 (1)分析を進めていたLucas-tree型モデルに、感染症動学であるSIRモデルを組み込んだ資産価格モデルを開発した。感染症は流行の初期段階において、確率分布が多くの投資家にとって未知であり、ナイト的不確実性の一部としてとらえることができる。そのモデルにCovid-19の実績値を当てはめて、政府の就業規制政策によって、各国で観察されている株式価格の騰落現象が説明可能であることを示した。本研究は、Research in International Business and Financeへの掲載が決まっている。 (2)資産市場におけるナイト的不確実性の解消に伴う、社会厚生分析の理論研究も進めている。 その結果、ナイト的不確実性の解消は、パレート効率的な厚生改善とはならないこと、パレート効率的な社会構成の改善を達成する、補助金(税金)の範囲が存在しうることなどを示している。現在、本研究はAnnals of Financeにおいて、R&Rの段階に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題から、すでに1本の公刊論文と、1本の修正段階の論文が出ているが、本筋の国際間波及経路や、その先行遅行関係の検証については、やや遅れが生じている。すでにデータの取得は完了しているが、現在、理論分析における技術的な課題を抱えており、コロナウイルスの影響により、学会や、研究会等での報告機会や打ち合わせ等が極端に少なく、有効な対処プランを打ち出せない状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、R&Rとなっている論文については、早急に修正稿を提出し、夏ごろまでには採択となるよう準備を進めていく。ナイト的不確実性の、国際間波及に関する研究については、夏ごろまでには理論分析の問題点を解決したい。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナウイルスの影響により、予定していた学会報告や打ち合わせ等の機会がほとんどなかったため。
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