2022 Fiscal Year Annual Research Report
教育収益に対する認識の変化が教育達成に与える影響についての実証分析
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19K23217
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
黒田 雄太 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80845074)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 教育経済学 / 労働経済学 / ミクロ実証経済学 / ミクロ計量経済分析 / 教育政策 / 自然実験 / ロールモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2001年から2021年までの日本のほぼすべての高等学校の大学合格実績データを使用し、非進学校に現れた名門大学合格者の効果について分析を行った。大手予備校から購入したデータを利用し、大学群の定義や合格実績の指標を作成した。 イベントスタディの手法を用いて、名門大学合格者の影響を分析したところ、偶発的に発生した名門大学合格者は、その後何年にもわたって非進学校の合格実績(有名大学進学率や進学先大学の平均偏差値)を高めるという結果が示された。教員数や学校周辺の環境などの投入要素の影響について検証したところ、有名大学合格者が現れる前後において投入要素の変化は生じていないことが分かった。効果が持続的なことからも、名門大学合格者は下級生の信念や意欲に影響を与えるロールモデルとなり、ロールモデル効果を通じて合格実績が改善される可能性が示唆された。あるいは、学校に大学進学のノウハウが蓄積されることによる影響も考えられる。 また、Googleトレンドを使用した分析によると、名門大学合格者が現れることで非進学校の検索数が増加することから、学校の評判形成に影響を与えている可能性がある。さらに、学校選択制などの政策が非進学校の名門大学合格者の発生確率にどのような影響を及ぼすかについて分析を行ったところ、学区制度が存在する地域の方が偶発的なロールモデルが発生しやすい可能性が示唆された。ただし、発生率に関する分析では非進学校やロールモデルの定義によって異なる結果が得られるため、解釈には注意が必要である。
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Research Products
(1 results)