2020 Fiscal Year Research-status Report
A Series of Project to Investigate Policies to Minimize the Social Welfare Loss Triggered by Sovereign Debt Crises
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19K23218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡地 迪尚 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40812243)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / 厚生経済学 / 国家債務危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家債務危機が生じた際における厚生損失を最小化するような政策の模索を目的として一歩一歩段階を踏んで理解を進めていくことにある。現在、政府の破綻モデルとして用いられている戦略的破綻メカニズムが有効でないことを示し、代替となるモデルの模索をしている。戦略的破綻モデルとは、 破綻を選択する場合としない場合の価値を比較し、選択する場合の価値の方が高ければ政府自ら破綻を選択するモデルである。しかし、これは南米のように、破綻をした場合の経済への影響が十分小さい場合には当てはまるかもしれないが、日本のような規模の経済で妥当とは言い難い。そこで、戦略的破綻モデルが日本のような規模の大きな経済では破綻を選択できないことを示す。さらに、そのような国では、戦略的破綻ではなく、借り換えが出来ないことにより破綻が生じることを導き出す。もっとも、ギリシャのような国では借り換えが出来るのに破綻することがありうるが、日本のような通貨発行権を有する国では、中央銀行による引き受けも出来るので、その場合との厚生損失の比較も行うつもりである。 今までは、経済学として先進国における政府の破綻のモデルを経済学は提供できていなかった。しかし、本研究により、それを示すためモデルを提供できるようになるであろう。 現在、先行研究をまとめおわり、経済モデルの構築を行っている。もっとも、本研究は複雑なモデルを扱うため、大規模なコーティングになっているため、並行してモデルの微修正も行っていかねばならない状況である。現段階における研究の成果を判断するのは難しいが、何とか形にしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由はいくつかある。(1)COVID-19の影響により、教育等に時間が取られ計画通りには進まなかった。例えば、オンライン試験ではマークシート等を利用することができないため、大人数の学生の手書きの答案を採点しなければならなかった。また、学生からの質問もチャット等を通じて多くなり、対応に追われた。(2)第一子が誕生し、子育てに費やす時間が格段に増えた。コロナ禍で、遠隔地に住む互いの両親に東京に来て面倒を見てもらうなどという手段もとれなかった。(3)新しい大学で授業数も増える中、講義のための準備に追われた。具体的には、春学期4コマ、秋学期4コマ受け持ち、講義ノートの作成に多大な時間を費やすこととなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はシミュレートを行いながら、モデルの微修正を行い、それと同時に執筆していく。COVID-19の影響で、海外での発表は難しそうであるが、国内ではいくつかの大学等で発表し、コメント等をもらいたいと考えている。今年度中には、working paper にしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19により海外における発表などができなかったことが最大の要因である。
また、次年度には、大規模モデルに対応する演算ソフトウェアを購入するつもりである。また、国内であっても、COVID-19次第では、いくつか発表にいきたいと考えている。
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