2020 Fiscal Year Research-status Report
Application of multivariate copula to financial risk management
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19K23226
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉羽 要直 東京都立大学, 経営学研究科, 特任教授 (20848428)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 接合関数(コピュラ) / 裾従属性 / 非対称性 / ポートフォリオリスク / 誤方向リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
主な研究として、多数の資産価格変動に関し下落方向への依存性が高まる現象について、非対称t接合関数を用いて捉え、ポートフォリオリスク把握を行う実証研究を行った。具体的には、資産価格変動として、TOPIX33業種のうち3業種を選択してその業種別株価指数の日次変化率について非対称t接合関数で捉え、3業種の等ウエイトのポートフォリオのリスクを標準的なValue-at-Riskや期待ショートフォールといったリスク指標を用いて検討した。本研究の成果については、国内外の研究集会で報告・議論した。研究助成が始まった2019年9月以降では、統計関連学会連合大会(2019年9月)、日本ファイナンス学会秋季大会(2019年11月)、Quantitative Methods in Finance(2019年12月)、京都大学数理解析研究所共同研究(2020年9月)で報告を行ったほか、Stony Brook大学で行われたNew Ideas in Quantitative Finance Workshop(2019年11月)で招待講演を行った。これらの研究集会で得られた意見・議論をもとに英語論文の修正を進めている。非対称t接合関数の利用については、研究詳解「非対称t接合関数の性質と統計的推定方法」を和文誌『統計数理』で公表した(2020年6月)。また、関連する研究として、クレジット・デフォルト・スワップの信用リスク調整を念頭に接合関数を用いた誤方向リスク・モデリングを考察した研究について、作成した論文の修正を進めたほか、日本オペレーションズリサーチ学会誌での和文の解説原稿も執筆し、本邦の学界への啓蒙を図った(2020年7月)。さらに、共同研究集会「極値理論の工学への応用」では「非対称t接合関数の裾依存性」について理論分析を深めて報告を行った(2020年8月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非対称t接合関数を用いたポートフォリオリスク把握の研究については、前述のとおり、有識者の意見を踏まえ、修正の目途をつけることができた。また、接合関数を用いた誤方向リスク・モデリングについては、解説論文を執筆することで整理が進み、ある英文誌へ投稿したもののかなり困難な修正要求があり、修正を検討している。こうした中、2020年度は前述のとおり関連の理論研究についての分析や論文執筆などを優先して進めた。また、統計関連学会連合大会では「コピュラの理論と応用」のセッションを企画し、この分野での最先端の研究の啓蒙活動に取り組んだ。なお、2020年度はコロナ禍で海外出張での報告の機会が得られなかったことから予算執行は延長している。
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Strategy for Future Research Activity |
基盤研究(C) 21K01581「金融リスク管理に用いる多変量接合関数の分析」と併せて、懸案の点から着実に解決していく。接合関数を用いた誤方向リスク・モデリングについては、英文誌からの修正要求で市場データを用いたモデルパラメータの較正を求められており、この点は他の基金と併せてデータベースの構築から検討を始める。非対称t接合関数を用いたポートフォリオリスク把握の研究については、夏休みを目途に英語論文の投稿を目指す。2020年度に分析を深めた理論研究については、「極値での従属性および非対称性と信用ポートフォリオリスク」の内容で日本統計学会誌に条件付きで採択されたため、早急に条件を満たす修正を施し、2021年度の統計関連学会連合大会で企画したセッション「コピュラ研究の展開」での報告に繋げていく。パラメータが時間変化する動的な接合関数や状態に応じて接合関数が変化するモデルへの拡張については、基盤研究(C) 21K01581の中でさらに整理を進めていく。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍で海外出張での報告の機会が得られなかったことから予算執行を延長した。2021年度前半において、研究関連の文献および計算機環境の整備等により、残存分を使用する予定。
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Research Products
(7 results)