2021 Fiscal Year Research-status Report
小売企業の店舗存続を支える競争優位基盤の探求:組織能力と店舗立地に注目して
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19K23231
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西川 みな美 帝京大学, 経済学部, 助教 (60846260)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 小売企業 / GMS / 出店 / 需要不確実性 / 空間的競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、前年度までの研究成果を踏まえ、空間的競争と企業行動の関係を明らかにすることを目的として、地域レベル (都道府県) の出店行動に焦点を当てた。具体的には、競争の激しい地域に積極的に出店するのか、あるいは、ドミナント出店によって競争を避けるのか、という問題が検討された。 この出店の意思決定を左右するチェーン小売企業の組織能力として、需要不確実性を統制する「在庫調整能力」に着目した。小売経営研究では、在庫の延期化によって不確実性を吸収することが、今日の小売企業における重要な組織能力の1つであると指摘されてきたものの、出店行動との関連性については検討されてこなかった。 よって、この問題を検討するべく、在庫調整能力を在庫回転率によって測定し、出店行動に及ぼす影響に関する実証分析を実施した。チェーン小売企業の出店行動を都道府県単位で観察するため、GMSチェーンを対象に、各店舗の住所や開店年月等の店舗データと、都道府県の人口統計データを複数年度にわたって収集した。この地域・店舗レベルのデータに、企業レベルの財務データを接合し、データセットを構築した。 分析の結果、在庫調整能力が低いほど、競争リスクを懸念し、競争的な地域を避けて、ドミナント出店を選択する傾向にあることが示唆された。これを受けて、在庫調整能力と空間的競争が、出店後の成果にいかなる影響を及ぼすのか、という点が次に取り組むべき研究課題として提起された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、上記のとおり実証分析を実施し、その成果を論文として発表した。ただし、このデータセットの構築に時間を要し、年度内に次の研究課題には着手できなかったため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の研究成果から抽出された研究課題として、出店後の店舗成果に対する需要不確実性と競争の影響を検討する。具体的には、店舗撤退のデータを用いた実証分析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
上記のとおり本年度の研究計画に遅れが生じ、予定していた研究課題の分析にまで至らなかったため、その調査費用として計上していた予算を次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)