2020 Fiscal Year Research-status Report
地域文化の再構築を担う創造の場:教育研究機関の集積と連携による人材開発と知識共有
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19K23236
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
前田 厚子 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50849049)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 革新と継承を担う創造の場 / 人材開発 / 知識共有 / 創造環境 / 専門技術研究所 / 美術館 / 工芸作家 / 地域文化産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の実績は、コロナ禍で可能な現地調査による情報・資料の収集、研究会の主宰、 対象地域を創造拠点とする工芸作家のキャリアパス調査、論文(査読付)の掲載と本研究の素地となる学術書籍の出版である。具体的には次の通りである。 2020年3月より延期した「地域文化産業の革新と継承を担う教育研究機関の社会連携」をテーマに、オンライン研究会を2回主宰して所属する創造経済研究センターの研究員らとともに貴重な教育研究の場を実現できた。1回目は京都市と多治見市の陶磁器事例で京都市立芸術大学美術学部陶磁器専攻教授と多治見市陶磁器意匠研究所(以下「意匠研」)所長補佐を講師に、2回目は北陸のガラス造形の事例で東京藝術大学社会連携センター特任教授(富山ガラス美術館名誉館長兼務)を講師に招聘した。 また富山市立富山ガラス造形研究所の主任教授や助手、「ガラスの街とやま」や「グラス・アート・ヒルズ富山」の構想推進に関わった富山市役所職員、富山市の主要産業である薬業に関連したガラス薬瓶に関わる歴史資料の収集、富山市ガラス美術館長、意匠研の教職員や卒業生、多治見市民文化工房ギャラリーヴォイス幹部職員、国際陶磁器フェスティバル美濃実行委員会事務局長、岐阜県現代陶芸美術館長、意匠研卒業制作展を訪問できて貴重な資料の収集と情報交換をできたこと、公開資料と一部展覧会での質疑応答による富山と岐阜を創造拠点として定評価されるガラス造形作家と陶芸作家計60名強のキャリアパスを調査したことが研究実績である。別途、本研究の基盤となる論文(査読付)「革新と継承を担う創造環境の形成過程-京都や金沢に立地する芸術系大学と工芸作家」が『文化経済学』17巻第2号に掲載され、博士論文の書籍版『地域の伝統を再構築する創造の場』が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナ禍に起因して、現地調査が思うように進捗しなかった。富山、岐阜、愛知、京都、石川の工芸を対象とした教育研究機関の教職員、卒業生、学生への緻密なヒアリング調査とアートイベント調査の分析を主な情報基盤とするため、居住地の東京より現地の教育研究機関に入構できる条件が極めて限定的であり、地域連携のアートイベントが中止か翌年延期となる場合が大半であったため、定量的な情報収集が不十分となった。とはいえ富山市内、岐阜県多治見市、京都市には各数回赴いて幹部職員へのヒアリング調査と資料収集を図った。別途、2020年3月に対面で予定していた研究会をZOOMにて2回主宰し、大きな成果とその後につながる情報交換の場となった。但し、それらの研究成果を学会で発表するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査の補足とこれまでに収集した情報を基に学会発表をして学術誌に投稿する予定である。その結果、これまでの京都・金沢の研究事例と富山・岐阜の相当例とを比較して、工芸の担い手を育成する大学が地域に所在しなくても多様性と開放性があり国際的な教育研究の場である専門校と美術館、公設ギャラリーやアートイベントとの効果的な社会連携を有する創造環境が形成されていけば、革新と継承が循環する持続可能性に連鎖されるという仮説論証を学会誌で報告できることを本年度のゴールとしたい。具体的な事項は次のとおりである。 国際陶磁器フェスティバル美濃、北陸工芸サミット、奥能登国際芸術祭などの地域連携アート事業が対面開催されるのであれば、それらおよび調査対象機関の現地取材を補足する。また学会発表や学会誌を通じた成果発表を本年度の研究方策とする。具体的には、6月に文化経済学会<日本>の年次研究会で「持続可能な創造環境と人材育成-グラス・アート・ヒルズ富山とセラミックバレー美濃」を、韓国The Jinju Creative Industries Promotion Association主催の国際学会で“Formation Process of Creative Environment Responsible for Innovation and Succession: Art University and Crafts Artists in Kanazawa of Japan”を各々オンライン発表して、そののちに、学会誌「文化経済学」及び韓国“International Journal of Crafts and Folk Art”への論文投稿を予定する。また昨年度に引き続き富山ガラス美術館館長を講師に富山のガラス造形作家の人材開発と美術館の役割について研究会を主宰する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により予定していた現地調査や学会、研究会の大半が中止、延期やリモート開催となったため、研究費の大半を占める出張旅費が未使用で繰り越しとなった。2021年度は、これらの現地調査に対する出張旅費のほか国際学会発表と英語論文投稿を予定しているので、それら資料の英文校正費が新規見積もりとなる。
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