2020 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災からの住宅再建における選択の社会構造的要因と納得構造の解明
Project/Area Number |
19K23244
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平川 全機 北海道大学, 文学研究院, 助教 (30572862)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 住宅再建 / 社会構造的要因 / 納得 / 選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため新規の聞き取り調査の実施を見送り、これまでの聞き取り調査結果の再分析と文献による分析視角の検討と他地域の事例調査を中心に研究を進めた。 これまでの調査の再分析による成果の一部は黒田暁・平川全機「津波被災地における『復興』活動への参与実践と調査との往復」環境社会学会 震災・原発事故特別委員会 研究例会2021年3月22日で発表した。ここではこれまでの調査対象地域との関わりを再帰的にとらえ、被災地で研究することの意味を研究活動や実践と対象者や社会との「応答」という視点から再検討した。これは本研究を実施する社会的な意義を問い直し、本研究目的を再確認するという点で大きな意味をなすものであった。 また調査対象地域における津波被災による集団移転や人口移動の分析を進めており、生業との関連や被災直後の意向と実際の住宅再建の結果との相違などの点で一定の知見を得た。今後は2021年度にその成果を発表する予定である。 分析視角・他事例の調査としては、社会学を中心とした東日本大震災を中心とした災害・復興研究の検討を行い、2019年度に雑誌掲載の論文を中心に整理した(庄司知恵子・平川全機,2020「津波被害と生活再建:東日本大震災の研究動向整理から」『岩手県立大学社会福祉学部紀要』22:65-74)ため、2020年度は文献を中心にその動向を調査した。そこから分析視角の発展の可能性について示唆を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により当初予定していた現地での聞き取り調査を実施することができなかった。一方でこれまで蓄積してきた聞き取り調査のデータの精査および隣接する諸分野をふくむ関連研究を精査することによる分析視角の再検討はおおむね順調に進んでいる。しかし本研究を進めるためには聞き取り調査が必須である。そのため、当初の計画から進捗は遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き新型コロナウイルスの感染が収束する状況を見通すことは困難な状況にある。こうした中で聞き取り調査を行うことは聞き取り対象者をリスクにさらし、また感染拡大につながる可能性もある。そのため当面の間は聞き取り調査は自粛する。 一方で研究を推進するために2つの方策をとる。1つは新型コロナウイルスの感染拡大前までに得られたデータによる再分析である。もう1つは文献や論文を通した地域間比較である。2021年3月に東日本大震災から10年を迎え、学術的研究の蓄積も増加している。それらを利用し、研究対象地域の特色等を再考する。
|
Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大のため聞き取り調査を行うことができなかった。また研究発表もオンラインで行われた。そのため聞き取り調査および研究発表にかかる旅費が支出されなかったため次年度使用額が生じた。 今後の使用計画は新型コロナウイルスの感染拡大状況に大きく左右されるが、現地での聞き取り調査が可能な状況となれば必要となる旅費として支出する予定である。
|