2019 Fiscal Year Research-status Report
Migrant religious communities and Gender in Japan
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19K23245
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横井 桃子 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (30845954)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 宗教社会学 / ジェンダー / 移民 / 宗教コミュニティ / 複合差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究課題に関連して、①先行研究の整理、および②日本の宗教の概況についてデータに基づく把握をおこなった。 まず、①先行研究の整理では、日本における移民の宗教コミュニティの事例研究や、移民とジェンダーに関する文献を読み、論点の整理をおこなった。グローバリゼーション・ジェンダー平等・多文化共生の3項間の関係について、移民政策や移民の労働・産業におけるジェンダー問題が論じられるものの、宗教の場合、イスラム女性のスカーフ問題など、ジェンダー問題を引き起こすものとしての宗教的文化という側面に焦点が当てられていた。しかし、移民にとっての宗教は精神的サポートを供給するコミュニティとしての役割も果たすことを想定している本研究では、単に宗教的伝統性がジェンダー平等に反するという点のみならず、移民・性別・宗教という複合差別の中にあってなお宗教が移民女性になにをもたらしうるのかを検討するべきであるという新たな視角を得た。これらの論点整理をもとに、調査フィールドの設定をおこない、調査対象者候補と日程を調整している。 また、②日本の宗教の概況について、公的統計資料を用いてまとめた。日本では信仰をもつ者が約3~4割程度であるものの、何らかの宗教的な実践がある者は全体の9割という、日本独特の宗教事情があることを明らかにした。さらに宗教性の概念の理論的検討をおこない、日本人に限らない普遍的な宗教性を実証的に見出していくことが今後の課題として示された。日本人の宗教に対する意識を把握することは、移民の宗教意識との比較をおこなう上で有用である。ホスト社会・日本の状況を踏まえた上で、移民女性をめぐる宗教とジェンダーの関係を解明することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、日本社会の宗教状況をまとめ、宗教性に関する理論的検討を加えた論文を発表した。また、移民のジェンダー問題や宗教との関係についての先行研究の整理も十分に行えており、調査対象者候補へのアプローチも進んでいることから、この評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に選定した調査対象者候補にインタビュー調査をおこない、成果について学会発表や学術雑誌への投稿を予定している。可能な限りは対面でのインタビュー調査を予定しているが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、オンラインでのインタビュー調査をおこなうことも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学術大会が中止となり、またフィールドワークやインタビュー調査の日程を改めることになるなどして、旅費・人件費が不要となったため。 次年度以降、学術大会等が再開され、また移動制限が緩和され次第、順次使用していく予定である。
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