2021 Fiscal Year Annual Research Report
南アフリカの人種的秩序の変遷に関する社会学的研究:アジア系住民の中間性に注目して
Project/Area Number |
19K23246
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山本 めゆ 日本大学, 文理学部, 助手 (40843743)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | レイシズム / 人種編成論 / 中間性 / 白人性 / 国際社会学 / アジア系移民 / 南アフリカ / アフリカ-アジア関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究課題は、南アフリカの人種階梯において入植者/ヨーロッパ系住民とアフリカ人との中間に置かれたアジア系移民/住民の地位について、アジア系移民の定着が始まった19世紀後半からアパルトヘイト体制が終焉を迎える1990年代初頭までを視野に収め、彼らの位置の変容と現地社会との交渉を通時的に把握することにあった。 文献研究としては、アフリカ-アジア関係研究、ソジョナーやミドルマン・マイノリティ論、都市論などの先行研究を再検討した。その検討を通じて、南アフリカのアジア系移民には概して現地社会に対して距離を置くような傾向があり、それが当地におけるアジア系移民とアフリカ人との葛藤の一因となっていた可能性を指摘した。 併せて、アパルトヘイト期の南アフリカに居住していた日本人(主に企業駐在員や外務省関係者とその家族)に対する追加的な聞き取り調査を実施した。1960年代~1980年代の南アフリカで「名誉白人」と名付けられていた人びとの生活史を把握することで、現地社会に対する彼らの「無関心」という関わり方が学習的なものであることを明らかにした。申請時に予定していた南アフリカでのインタビュー調査は、新型コロナウイルス感染症の影響により実施を見送った。 これらの研究成果は、単著である『「名誉白人」の百年: 南アフリカのアジア系住民をめぐるエスノ-人種ポリティクス』(新曜社、2022年)や"Honorary Whiteness as a Relational Construct: Ethnoracial Formations of Japanese and Chinese in Apartheid South Africa", Social Theory and Dynamics (3), 2022 として発表した。
|
Research Products
(2 results)