2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Concept of Universal Peace and Atomic-bomb Experience: An Empirical Study of Discourse Transformation and Globalisation
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19K23247
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 普遍的平和 / 記憶 / 原爆 / 実証研究 / 言説 / 表象 / 継承 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な原爆体験を表現する言説のパターンを歴史社会的背景の文脈に据えて分析し、バランスの取れた考察を可能にするためには、定量・定性双方の分析が可能な一次資料としてのデータ群が必要不可欠である。そこで、1985年被団協原爆被害者調査、2005、2015年朝日新聞被爆者アンケート調査データと、2009―2019年読売新聞被爆者調査、および被爆の展示に対する広島の訪問者の口コミ総数およそ6千件、1947年第一回以来の平和宣言(日英)全テキストなどをもとに、従来より客観的で再現性のある分析が困難とされてきた自由回答を電子化し、言説分析に特化した網羅的なデータベースを新規構築して、多領域横断型研究(人文・自然科学など)への利用を可能にした。さらに、ウェブ上で公開されている証言集について、個人情報や倫理・ 著作権上の問題がないものに限定して、平和センターのデータベースに組み込み、解析可能な形式に加工した。グラフ理論及びニューラルネットワークを用いた可視化法と従来的統計的手法を併用しながら、特に、大量文書から主要題材を抽出するに当り、教師無し及び半教師有り機械学習アルゴリズムに使う「潜在的ディリクレ配分法(Latent Dirichlet Allocation: LDA)」を用いたトピックモデルで潜在意味解析を行い、多重対応分析で語間及びカテゴリーと語の間の関係性を可視化した。このデータ群をもとに、多領域横断型の実証記憶学の理論的枠組みと手法を用いて、原爆・被爆体験に関する言説の形成・伝播・共有・変遷過程を分析し、被爆者を取り巻く社会情勢の変化と被爆者の自己表現、および被爆者について報道・叙述する表現が、相互に影響しながら継時的に変化してきたこと、その過程で日本国内外で「人生経験としての被爆の実相」において記憶の齟齬があること、他の日本の戦争記憶の継承の実情との相違点を明らかにした。
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Research Products
(12 results)