2021 Fiscal Year Annual Research Report
精神科入院患者の人権救済制度の運用のあり方に関する研究
Project/Area Number |
19K23249
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
宮田 暢子 京都府立大学, 公共政策学部, 助教 (80845157)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 人権救済制度 / 精神医療審査会 / 退院請求 / 処遇改善請求 / 精神科入院患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、精神科入院患者の人権救済制度の運用のあり方について、入院患者にとっての利用のしやすさに着目して検討することである。 令和3年度は①国内の精神科入院患者の退院等請求制度、とりわけ請求のしやすさにかかる環境や運用のあり方について示唆を得るため、イングランドとカナダのブリティッシュコロンビア(BC)州における精神科入院患者の人権救済制度とその運用ついて文献調査を実施した。結果イングランドでは、2010年に施行された、障害者に限定されない様々な人の人権や機会均等に関する平等法により、わが国の障害者差別解消法における事前環境整備に近い合理的配慮が提供されており、精神保健法やその関係法規内外の規定により、患者が請求のための相談や手続きが円滑にすすめられるようなシステムが存在した。カナダでは、カナダ権利自由憲章やカナダ人権法等により、イングランドと同様、様々な人への差別が禁止されており、BC州では州保健サービス局により、医療における手話通訳や通訳システムが2003年から提供されていた。BC州における事前環境整備に近い合理的配慮は、イングランドのそれと比べると限定されていたが、精神保健法やその関係法規内の審査請求にかかるの環境や運用は、1991年の国連原則を満たす内容が整備されていた。 ②①の文献調査結果を踏まえ、前年度に実施した全国の精神医療審査会事務局に対するアンケート調査結果と今後のわが国の精神科入院患者の人権救済制度やその運用のあり方について、所属大学の紀要に執筆した。
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