2021 Fiscal Year Research-status Report
旧社会主義国間にみられる女性労働の多様性:女性労働を規定する要因の比較分析
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19K23256
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
里上 三保子 創価大学, 経営学部, 講師 (20845391)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 女性労働 / 国家主導 / 男女賃金格差 / 体制転換 / EU / 中東欧 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナ感染症の状況が改善せず、海外への出張などができない状況が続いた。また海外の研究者もコロナ感染症の拡大し始めた2020年度には積極的に利用していたオンラインミーティングが徐々に時差などがある中での会議に疲弊していることもあり、メール以外などでは対面での意見交換ができるまで待とうという方が多かった。そのため、今年度も専ら国内で入手可能な文献などをもとに研究を進めた。昨年度に執筆した論文「国家の役割再考―ドイツにおける女性労働をめぐって」に続き、今年度の成果の一つとして、一橋大学経済研究所の岩﨑一郎教授との共著論文"Gender Wage Gap in European Emerging Markets: A Meta-Analysis"(現在、海外の査読付きジャーナルに投稿中)がある。本論文は欧州新興市場における男女間賃金格差について、過去の53の研究成果から抽出された670の推計値をメタ分析した結果を報告するものであり、その結果、男女間の差は移行期を通じて賃金水準に統計的に有意かつ経済的に意味のある影響を与えることが示された。また、EU加盟国での男女賃金格差は非加盟国よりも小さく、それにもかかわらず、地域全体として男女賃金格差は時間の経過とともに縮小する傾向にあることが明らかになった。この結果は本研究課題における大きな進展であり、これをもとに、ドイツにおける東西間の企業内におけるジェンダーのあり方の違いの分析を中心に、旧社会主義国における女性労働の多様性とその規定要因の分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、研究の成果としては論文という形で現れてはいるが、海外研究者との交流や現地調査が難しいことにより、当初の計画のようには進められていない。ただ、今年度には海外での学会発表も行う予定で計画しており、今年度で当初の計画を貫徹できると見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をふまえ、現在もオンラインや国内で入手可能な文献を利用し、必要な場合にはメール等で海外研究者とも連携しながら研究を進める。研究の最終段階として、今年9月にイタリアにて開催されるEuropean Association for Comparative Economic StudiesのThe 17th Biannual Conferenceにて、"A Comparative Study of Gender in the Firm: The Case of Germany"を報告予定である。その際、この領域を専門とする海外研究者と意見交換を行い、さらにブラッシュアップしたうえで、今年度中に査読付きの英文ジャーナルに投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画で予定していた海外での現地調査や海外での学会報告といったものが、新型コロナウイルス感染症の影響ですべて不可能になってしまったため、研究計画を大幅に変更し、国内で、かつ様々な制約の中で行える研究ということになった。ただし、2022年度には対面形式での国際学会が開催されることになったため、それについては当初の計画通りの執行ができる予定である。
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