2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Elucidation of the Mechanism of Status Identification in Contemporary Japan
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19K23258
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
谷岡 謙 中京大学, 文化科学研究所, 特任研究員 (90852260)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 階層帰属意識 / 社会意識 / 階層意識 / 社会階層 / 生活満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究課題に関して特にグループレベルでの階層帰属意識の個人内変化に注目しパネルデータによる分析を行った。具体的には、東京大学社会科学研究所の「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(東大社研・若年壮年パネル調査)」データを用いて、個人内効果と個人間効果を識別可能なハイブリッドモデルによる分析を行った。 この分析では、階層帰属意識の個人内変化について、①学歴(大卒・非大卒)によって個人内効果に違いはあるか、②個人内変化において生活満足度はどのような効果を持つか、の2点に注目し分析を行った。その結果、①学歴によって個人内変化に効果のある変数は異なるが、高い階層帰属意識への変化に影響する変数は大卒・非大卒に関わらず少ない、②大卒層においてのみ生活満足度の上昇が高い階層帰属意識に繋がる、という2点が明らかになった。①については、時代変化の研究で明らかになったグループレベルでの規定要因の違いが、個人内変化においても当てはまることを発見したと言える。②については、生活満足度の移行率に学歴差は見受けられないため、生活満足度の変化が階層帰属意識に与える影響に学歴差があるのだと考えられる。また、生活満足度は他の階層変数と異なり、階層帰属意識の変化との間のタイムラグが小さいと考えられるため、大きな効果を持っていると考えられる。 この分析により、大卒・非大卒というグループによって階層帰属意識の個人内変化に違いがあることが明らかになり、最終的な研究課題であるグループレベルの階層帰属意識のメカニズムの解明に1歩近づいたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、グループによる個人内変化の違いを明らかにし、論文を発表することができた。また2020年度内にRoutledge社からも共著英文書籍が出版予定であり、その他に文献収集やデータ分析手法の習得も進んでいることから、この評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に得られた知見をもとに、SSM/SSPデータを用いて時代変化のグループレベルでの分析を進め、その成果を学会での発表や学術雑誌等へ投稿する予定である。また、新規の大規模データが利用可能になる可能性もあることから、柔軟に分析計画を変更し、最新データに対応したモデルを構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により各種学会が中止になり、旅費が不要になったため。 学会・研究会が再開次第、順次使用する予定である。
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Research Products
(1 results)