2021 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Elucidation of the Mechanism of Status Identification in Contemporary Japan
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19K23258
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
谷岡 謙 中京大学, 文化科学研究所, 特任研究員 (90852260)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 階層帰属意識 / 社会意識 / 階層意識 / 社会階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に引き続き、SSM調査やSSP調査の複数時点(1975年~2015年)のデータを用いて、Finite Mixture Modelsと呼ばれる潜在クラス分析の一種を用いた分析を行った。使用したソフトウェアはLatent GOLD ver.5.1である。 現時点で得られた結果としては、先行研究において一億総中流の時代は、階層帰属意識は「中」に集中し、階層と意識の関連性が低く、その傾向は社会全体に共通しているとされていた。しかし、実際には階層と意識の結びつきが強い人びとも少ないが存在することが明らかとなった。この階層と意識の結びつきが強い人びとが、近年になるほど増加していることも確認された。さらに、年齢・学歴といった基礎的な属性との関連が近年ほど強まっており、階層と意識の結びつきが強い人びとには、年齢や学歴も高い人びとの割合が多くなっている。これらの変化が複雑に絡み合い、階層帰属意識の「静かな変容」という現象が引き起こされているのだと考えられる。これらの結果から言えるのは、今後の階層帰属意識の時代変化を追う場合、社会全体的な変化だけでなく、様々なサブグループごとに詳細な変化を検証する必要性があるということである。 今回の分析により、階層帰属意識の時代変化の詳細な様相が明らかになり、最終的な研究課題であるグループレベルの階層帰属意識のメカニズムの解明に近づいたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、使用する予定だった最新調査データの収集が新型コロナウイルスの影響で延期になったこともあり、予定通りの研究発表を行うことができなかったため、この評価とした。研究実績にある通り、分析は進んでいることから、研究期間を延長し2022年度に発表を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまで得られた知見をもとに最新のSSP調査データを用いて時代変化の詳細な分析を進め、その成果を学会での発表や学術雑誌等へ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により各種学会が中止になり、旅費が不要になったため。 学会・研究会が再開次第、順次使用する予定である。
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