2022 Fiscal Year Annual Research Report
Case studies for understanding the structure of employment and wage system for persons with disabilities in companies.
Project/Area Number |
19K23271
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
富田 文子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (80847939)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 障害者 / 一般就労 / 民間企業 / 雇用形態 / 賃金体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、企業における障害者の雇用形態や賃金体系について、特例子会社へのインタビュー調査から分析した。また、新型コロナウイルス流行禍における障害者の雇用状況についてアンケート調査を実施し、その影響について考察した。障害者の雇用形態については、特例子会社は、障害者の雇用に配慮された企業であるため正規雇用を前提する場合が多かったものの、一定の労働時間を超えて就業できることや、親会社の業種に伴う従業員の雇用形態に準じていると考えられた。賃金形態は、最低賃金を基本として、専門性、判断能力の有無、代替不可能性、企業全体の理解、業務習熟度によって構成されていると考えられた。新型コロナウイルスの流行は、特に採用計画の見送りなどの影響があったが、障害者雇用率制度は一定の抑止力として機能することがわかった。ただし、その反面、障害者労働者は安定した雇用を望む傾向が強くなることも推察された。 2022年度は、調査研究及び文献研究から、特に賃金の低さが顕著である知的障害者に焦点を絞り、低賃金の要因分析を行った。結果は、①雇用される職務や職種といった労働市場の特徴、②職場や企業・社会という「周囲」の意識の固定化、③ライフキャリアに関する未学習・理解不足等による知的障害者(及び家族)が低賃金の状況に甘んじていること、④障害者雇用率や障害年金制度による所得保障といった制度の固定的考え方という4つの要因が原因であることが考えられた。加えて、近年、特別支援教育ニーズがある生徒が、普通高校へ進学するものの、教育と福祉との連携不足等の理由により、障害者雇用に至らず退学や進路先が見つからない現状についての要因分析を実施し、今後障害者雇用分野にどのように接続するかといった実質的課題の考察を行った。
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Research Products
(3 results)