2020 Fiscal Year Research-status Report
石炭産業の漸次的撤退と青年たちの成人期への移行に関する追跡研究
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19K23276
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠原 良太 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (20846357)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 石炭産業の漸次的撤退 / 炭山コミュニティ / 成人期への移行 / ライフコース / 人間行為力 / 産業と教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2019年度末からの新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、大幅に研究計画を変更せざるをえなかった。具体的には当初予定していた東京大夕張会・札幌大夕張会調査を延期し、コロナ禍収束後に実施することとした。他方、以下の4点のとおり、元教員インタビュー、鹿島中学校同窓生座談会、教育資料アーカイビング、研究枠組みの整理を進めた。 (1)元教員インタビュー:三菱大夕張炭砿地区ならびに三菱南大夕張炭砿地区の元中学校教員2名に対するインタビュー(2020年10月31日、11月1日)を実施した。勤務校での教育実践、教員からみた炭山社会の特徴、事故・閉山時の対応などについて聞き取った。 (2)夕張市立鹿島中学校同窓生座談会:同窓生5名を対象とした座談会(2020年10月18日)を実施した。当時の写真や文書資料を提示しながら、子ども期の生活、進学・就職・結婚、離山後の生活、望郷について聞き取った。 (3)教育資料アーカイビング:夕張市教育委員会を訪問し(2021年3月12日)、「ゆうばり歴史・教育資料室」資料をはじめとする市内教育資料アーカイビングついて意見交換をおこない、提携して資料整理・デジタル化を進める方針を確認した。 (4)研究枠組みの整理:同時代の三菱系炭鉱である尺別炭砿に関する研究成果のとりまとめ(『〈つながり〉の戦後史』嶋﨑尚子ほか、共著、青弓社)ならびに日本家族社会学会第30回大会テーマセッション「産業・地域変動と家族のライフコース:新たな実証研究の可能性」(2020年9月12日)での報告を通して、「産業と地域・家族・教育」の視点から労働者子弟の人生移行を捉える枠組みについて検討した。 なお、本研究助成は、2020年度が最終年度であったが、上記の通り、コロナ禍によって研究計画を変更し、調査を延期したため、補助事業期間を2021年度まで延長した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のとおり、新型コロナウィルス感染症拡大による活動自粛のため、2020年度内に予定していた東京大夕張・札幌大夕張会調査の実施を延期せざるをえなかった。事態が収束したのちに、2021年度中に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでに実施した調査(閉山時中学生の作文収集、元教員インタビュー、同窓生座談会)の結果をリサーチ・ペーパーとしてまとめ、上記同郷会調査の準備を進める。加えて、夕張市教育資料アーカイブズ構築のため、同市教委から資料委託を受けて、資料整理・デジタル化を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大による活動自粛のため、研究計画の変更と調査の延期が発生したため。繰越分は、リサーチ・ペーパーの印刷費用および事態収束後に実施する予定の調査費用に充てる。
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