2021 Fiscal Year Research-status Report
石炭産業の漸次的撤退と青年たちの成人期への移行に関する追跡研究
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19K23276
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠原 良太 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (20846357)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 石炭産業の漸次的撤退 / 炭山コミュニティ / 成人期への移行 / ライフコース / 人間行為力 / 産業と教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症パンデミックの影響により、当初予定していた調査を延期・中止せざるをえなかった。なかでも、主な調査対象である東京大夕張会ならびに札幌大夕張会の総会が中止となったため、ライフコース調査の実施を見送った。個別インタビューも困難であるため、代わりに、以下2点に取り掛かった。 第一に、石炭産業の漸次的撤退期に閉山した尺別炭砿(雄別炭砿株式会社)を例に、閉山離職者の子ども(中学生)のライフコースを明らかにし、博士学位論文(「石炭産業の漸次的撤退と閉山離職者の子どものライフコース――雄別炭砿株式会社尺別炭砿の閉山と中学生に関する追跡研究」)としてまとめた(2022年1月末提出、3月末公開審査済)。 第二に、夕張地域を含む空知炭田における若年労働力の養成について、企業・学校・家族に着目して論稿としてまとめた(「なぜヤマの子どもは炭鉱マンになったのか――鉱業学校の展開と世代間継承」『家族社会学研究』33(2): 204-11.)。1950年代から70年代前半にかけて、ビルド鉱は鉱業学校(企業内養成所、各種学校)を設けて従業員子弟を次世代労働力として養成した。鉱業学校は石炭産業の衰退によって休校・縮小を繰り返したが、1960年代後半には高卒学歴取得のニーズに応じて通信制教育を導入するなど、産炭地の重要な教育機関であった。従業員家族は、家族の状況に応じてこれらの制度・機会を活用し、炭鉱での労働と生活を世代間で継承した。 なお、本研究助成は、2020年度が最終年度であったが、上記の通り、コロナ禍によって研究計画を変更し、調査を延期したため、昨年度に引き続き補助事業期間を延長して2022年度までとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のとおり、新型コロナウィルス感染症拡大による活動自粛のため、2021年度内に予定していた東京大夕張・札幌大夕張会調査の実施を延期せざるをえなかった。事態が収束したのちに、2022年度中に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまでに実施した調査(閉山時中学生の作文収集、元教員インタビュー、同窓生座談会)の結果をリサーチ・ペーパーとしてまとめ、上記同郷会調査の準備を進める。加えて、夕張市教育資料アーカイブズ構築のため、同市教委から資料委託を受けて、資料整理・デジタル化を進める。
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Causes of Carryover |
本研究助成は、コロナ禍によって研究計画を大幅に変更し、調査を延期したため、引き続き補助事業期間を2022年度まで延長した。次年度使用額は、今年度開催される予定の同郷会での調査もしくは資料整理業務遂行費に充てる。
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Research Products
(4 results)